児童生徒の自殺対策に特化したブラウザ拡張機能「SOSフィルター」がリリース!
NPO法人OVAは、児童生徒の自殺対策を目的とした、1人1台端末向けブラウザ拡張機能「SOSフィルター」を7月10日にリリースしました。
「SOSフィルター」は、児童生徒が1人1台端末で深刻な悩みに関連するワードを検索した際、その悩みに合った相談窓口やセルフケアの方法をまとめた情報などをプッシュ型で届けることができます。
これまでβ版で試験導入を進めてきた「SOSフィルター」は、この度、デザインやコンテンツの改善、対応ブラウザの追加などを行い、本格リリースとなりました。
「SOSフィルター」が提供する3つのサポート
「SOSフィルター」は、子どもたちが安心して「助けて」と言えるように、ストレスに対処しながら生きる術を身につけられるように、次の3つのサポートを提供します。
1.
適切な支援につながるようサポート
- 「自殺」「学校での人間関係」「家庭での人間関係」「性暴力」「自傷」「精神疾患」のカテゴリーで計4796個のキーワードを設定。
- 悩みに特化した相談窓口を紹介しています。
2.
心身の異変に気付きセルフケアを行えるようサポート
- 児童生徒が自分自身でストレスを適切に対処する術を見つけ、コントロールすることができるよう、セルフケアの方法を紹介しています。
3.
周囲の人や相談窓口に「助けて」と言えるようにサポート
- 周囲の人にどう相談をしたらいいか、相談窓口に繋がるときはどんな準備をすると安心か、といった「相談のコツ」を紹介しています。
「SOSフィルター」開発の背景
近年、児童生徒の自殺者数は増加傾向にあり、深刻な社会問題となっています。
現状の1人1台端末は、検索キーワードのフィルタリングが強く設定されており、特定の内容は結果が表示されない場合があります。
「死にたい」といった感情の吐露ともいえる検索行動を制限してしまうと、生徒は抱える悩みや感情を否定されているように感じる可能性があります。
また、SOSを早期に把握するための1人1台端末向けツールは既に複数ありますが、多くが有償であり、予算を確保できる教育機関しか導入できずに地域差が生じるという課題があります。
そこで、「SOSフィルター」は、無償で、かつ検索した生徒個人を特定したり、学校に通知が届くといった設計はあえて行わないようにしました。
β版での試験導入から得られた成果
2023年11月に開発されたβ版は、私立の中学校・高等学校(生徒数計981名)で試験導入され、自殺関連用語だけで月に計20〜60件を超える検索行動が行われていることが分かりました。
この結果を踏まえ、OVAでは2024年4月から本リリースに向けた開発を開始。専門家のご協力も得ながら、コンテンツ・デザインをブラッシュアップしました。
今後の展望
OVAでは、7月17日に児童生徒の自殺対策推進に向けた会見を実施し、教育関係者や自殺報道に関わる皆さまに向け、1人1台端末活用推進に向けた提言を行います。
「SOSフィルター」は、児童生徒の自殺対策に貢献する重要なツールとして期待されています。
「SOSフィルター」サービスサイト
https://sos-filter.ova-japan.org/