パナソニック コネクトが哲学対話を通じて考えるキャリアオーナーシップ
最近、パナソニック コネクト株式会社が人事総務本部を対象に実施した『哲学対話』が注目を集めています。この試みは、企業のキャリアデザインや社員の幸福を深く探求するために行われたものです。特に、キャリアオーナーシップという概念にフォーカスを当て、社員一人ひとりが自分のキャリアについて考える力を育むことに主眼が置かれています。
哲学対話の背景と目的
このプロジェクトは、パナソニック コネクトで約1万人のキャリアデザインを担当する中島好博氏と岩本剛氏、三上恭平氏の提案によるものです。中島氏は、少子化が進む中で日本国内だけに頼らず、グローバルな視点を持つことが企業に求められるとの考えを示しました。次第にグローバル市場で競争するためには、社員や人事がリベラルアーツを学ぶ必要があるとの見解に至ったのです。
さらに、2023年4月に導入されたジョブ型の人事制度が、この対話の実施背景となっています。この制度の下では、ハード面としての制度導入とソフト面としてのキャリアオーナーシップの浸透を両立させることが重要視されています。社員の成功と企業価値の向上を目指す中で、まずはキャリアオーナーシップの本質について社員自身が考えることが求められています。
実施内容と対話の進行
哲学対話では、参加者たちが「幸せ」について考えを深めていくことが中心テーマでした。哲学者というファシリテーターが、自由な対話の場を提供し、参加者たちが互いに自分の前提や文脈を分かち合いながら進めることが特徴です。この過程で「モヤモヤしていることは悪いことではない」という理解が生まれ、他者との対話を通じて自己理解を深めるチャンスが与えられたのです。
松村氏は、「話がまとまらなくていい」というルールのもとで思考を整理できる部分が印象的だったと語ります。哲学対話に参加することで、「問いを投げかける」ことができるようになると感じ、参加者間での考え方の共有が生まれたと言います。
対話の効果と参加者の気づき
この哲学対話を通じて、参加者たちはそれぞれの「幸せ」に対する価値観が異なることを理解し、それでも共通点を見つけ出すことができるようになりました。松村氏は、対話の中から「幸せはそれぞれの価値観に依存するが、理解し合うことで共通の幸せの概念が見えてくる」という考えに至ったことを述べています。
このプロジェクトは、参加者からも非常に好評であり、研修後もテーマについての議論が続けられているとのことです。このように、パナソニック コネクトはキャリアオーナーシップの本質に向き合い、哲学対話を通じて社員の幸福感を探求する新たな試みを展開し続けています。
最後に
キャリアデザインの重要性が増す中で、「哲学対話」は企業文化にも影響を与えるかもしれません。パナソニック コネクトの取り組みは、他の企業にとっても参考になる事例であると言えるでしょう。今後の展開が楽しみです。