北海道初の航空機サプライチェーン「SACSuC」始動
2022年3月30日、北海道北広島市を拠点にする株式会社ワールド山内を主導とした、航空機産業向けの新しいサプライチェーン「Sapporo Air Craft Suppliers Club」(略称:SACSuC)が正式に活動を開始しました。この発足式には、札幌市の株式会社池田熱処理工業、札幌エレクトロプレイティング工業株式会社という2社も参加し、地域の航空機産業を支える新たな取り組みを示しました。
航空機業界は、コロナウイルスの影響による客航空需要の落ち込みから徐々に回復しつつあるものの、航空貨物需要は比較的安定しているため、成長が見込まれています。こうした背景の中、3社は自動車関連部品の生産・加工のノウハウを活かし、航空機エンジン部品の製造を新たなビジネス領域として確立することを目指しています。
各社の役割
- - ワールド山内:機械加工、溶接、板金加工を担い、高い技術力を提供。
- - 池田熱処理工業:熱処理や機械加工の専門知識を持ち込み、製品の品質向上に寄与。
- - 札幌エレクトロプレイティング工業:表面処理を担当し、製品の耐久性を高める。
これらの企業が連携することで、高品質な航空機部品の供給が可能となります。発足式の参加者には、各企業の代表者が集まり、お互いの力を合わせて北海道の航空産業を牽引していく決意が表明されました。
新しい挑戦の参入障壁
航空機産業に新たに参入するためには、多額の設備投資が求められ、さらにJIS Q 9100などの国際認証が必須です。このため、参入のハードルは非常に高くなっています。3社は、株式会社山之内製作所(横浜市)をアドバイザーに迎え、進捗管理や社員教育、認証取得などの支援を受けつつ、この新しいプロジェクトを進めています。
未来の展望
また、民間のプライベートジェットだけでなく、空飛ぶタクシーや物流用のドローンなど、革新的な市場の拡大を目指しており、2023年度までに必要な供給体制を整えていく計画です。SACSuCに参加する企業も順次増加させ、サプライチェーンの分断リスクを回避し、サービス提供の安定性を確保することが期待されています。
経済活性化のビジョン
将来的には丘珠空港周辺に関連ビジネスやパイロット育成の学校を設立し、北海道の経済に新たな活力を与えたいとしています。これにより、「食と観光」が有名な北海道に「ものづくり」を加え、地域経済のさらなる発展を目指す考えです。
この新たな試みは、北海道の航空機産業の発展と地域活性化につながる重要なステップとなるでしょう。