能登半島地震と介護福祉士の役割
2023年に発生した「令和6年能登半島地震」は、多くの方に影響を及ぼしましたが、そこでの経験が新たな福祉支援の形をもたらしました。特に重要なのは、介護福祉士が災害時に果たす役割です。このたび、社会福祉法人が有志で結成した災害福祉支援チーム「FamSKO」が、介護福祉士の被災地派遣に役立つ「介護福祉士 被災地派遣ガイドブック」を編纂・刊行しました。
このガイドブックは、地震後の福祉支援のあり方に新たな指針を提供するもので、具体的な派遣方法や福祉士に求められる資質を明確にしています。
災害時に活躍する介護福祉士像の具体化
ガイドブックの第2章では、災害時に必要とされる介護福祉士の特徴を詳細に調査しています。FamSKOは、369名の福祉専門職を派遣した経験を基に、どのような介護福祉士が必要か、平常時に何を育成しておく必要があるかについてインタビュー調査を実施しました。結果として、これまで研究成果がほとんどなかったこの分野において、必要なコンピテンシーが明らかになりました。
バックオフィスの準備とチェックリスト
第3章では、介護福祉士が被災地に派遣される際のバックオフィスでの準備についても言及しています。具体的な準備事項や派遣時に参照すべきチェックリストを整理し、実際の経験を反映させたかたちで実践的な内容になっています。
これにより、支援チーム側が事前に確認すべき項目が明確になり、派遣後のトラブルを未然に防ぐための重要な手引きとなります。
FamSKOからの提言
ガイドブックの第4章では、福祉支援のあり方に関する提言もまとめられています。地域包括ケアや在宅ケアが進む中で、介護提供体制の維持が求められており、そのためには充実した災害時対応体制(DWAT)の必要性が叫ばれています。
さらに、福祉施設における事業継続計画(BCP)の現実的な策定も提案されており、経験に基づいたリアルなBCP作りが強調されています。これは、今後の多様な災害に適応するための鍵となるでしょう。
まとめ
「介護福祉士 被災地派遣ガイドブック」は、単なるマニュアルにとどまらず、福祉の現場で具体的に役立つ情報が詰め込まれた重要な資料です。これによって、今後の災害支援活動がより円滑に行われることを期待しています。
このガイドブックを通じて、介護福祉士が災害時にいかに貢献できるかを再認識し、今後の活動に活かしていくことが、福祉界全体の課題であると言えるでしょう。