淺沼組の画期的な土壁技術が金賞獲得
株式会社淺沼組(本社:大阪市浪速区)は、持続可能な建築の未来を切り拓く技術「立体木摺土壁」により、JID AWARD 2025のNEXTAGE部門で金賞に輝きました。この受賞は、地球環境との調和を目指す同社の理念が形となった大きな成果です。
立体木摺土壁とは?
立体木摺土壁は、建設発生土、藁スサ、おがくずなどの自然素材を活用した新しい壁構造です。古代から利用されてきた日干し煉瓦の技術を応用し、土と木を重ね合わせることで形成され、安定性と軽量性を兼ね備えています。淺沼組はこの構法を独自に開発し、施工の迅速化を実現しました。
さらに、この技術は環境負荷の低減にも寄与します。低炭素性、炭素貯留性、資源循環性、吸放湿性といった特性を持ち、持続可能な建物の実現を目指しています。同社は今後、耐火性の認定取得を視野に入れ、さらに研究開発を進める方針です。
JID AWARDとその重要性
JID AWARDは、日本インテリアデザイナー協会が主催する権威あるデザイン賞で、日本のインテリアデザインの優れた作品を表彰しています。1958年に設立されたこの賞は、最近ではスペース部門、プロダクト部門、NEXTAGE部門の3部門に分かれており、最優秀賞や金賞を通じてさまざまな作品を選出しています。立体木摺土壁の受賞は、同社の技術がいかに高く評価されているかを示すものです。
注目のプロジェクト「芋松豊洲千客万来店」
立体木摺土壁が実際に施された「芋松豊洲千客万来店」は、東京都江東区に位置し、土を主材とした新しい飲食・物販スペースです。このプロジェクトは、地元の風土を反映したデザインを追求し、地域の食文化を体験できる場を提供しています。
設計を手掛けた木野内剛氏は、日本建築の伝統技法を取り入れながら、豊洲市場の新鮮な食材が生かされた空間を作り出しました。このように、立体木摺土壁は単なる構造物ではなく、地域の文化や環境と結びついた重要な要素でもあるのです。
未来への取り組み
淺沼組は、これからも持続可能な建設を目指して新たな技術と材料の探求を続けていくと宣言しています。「人間にも地球にもよい循環を建設できなければ、建設業の未来はない」という考えの下、未来型の建築が求められる今、立体木摺土壁が持つ可能性はますます広がっています。
同社は、この受賞をきっかけに、より多くのプロジェクトで立体木摺土壁を普及させ、さらなる環境への貢献を目指す予定です。今後の展開に注目が集まっています。