核戦争後のブラック・コメディ『イエス、たぶん』日本初上演
演劇界に新たな風を吹き込む劇団「池の下」が、マルグリット・デュラスの幻の戯曲『イエス、たぶん』を日本で初めて上演することが決定しました。この作品は核戦争後の荒廃した世界を背景にしたブラック・コメディで、記憶を失った二人の女性と戦争に捕らわれた兵士が織り成す物語です。開演日は2024年12月13日、場所は東京都中野区にある劇場MOMOです。
演劇を通じて人間の真実に迫る
池の下はこれまでに、アゴタ・クリストフの『エレベーターの鍵』やデュラスの『アガタ』、ハロルド・ピンターの作品など、海外文学を基にした演劇を数多く上演してきました。それぞれの作品は、物理的でシンボリックな舞台演出を駆使し、観客に新しい視点を提供してきました。そして今回、『イエス、たぶん』が加わることで、デュラスの独特な視点と挑戦的なテーマが、再び舞台の上で生き生きと蘇ります。
マルグリット・デュラスとは?
マルグリット・デュラス(1914-1996)はフランスを代表する作家であり映画監督でもあります。その作品は、抑えられた感情と鋭い観察力を基に、愛、欲望、孤独、そして記憶と忘却を描いています。特に『インディア・ソング』はカンヌ映画祭で特別上映され、多くの映画人に衝撃を与えました。また、彼女の代表作『愛人』はゴンクール賞を受賞し、世界中でその独特な文体が高く評価されています。
『イエス、たぶん』の物語
『イエス、たぶん』(1968年)の舞台設定は、核戦争によって荒れ果てた未来の世界です。この作品では、二人の女性が記憶を失った状態で出会い、戦争によって運命を変えられた兵士と交わります。彼女たちは無垢な視点で「生きる」ことの意味を再定義しつつ、自分たちの歴史を紡ぎ始めます。デュラスが描く絶望と希望の交錯は、観る者に強烈なメッセージを送り、56年を経た今でも多くの人々の胸に響くのです。
池の下の演劇作品
池の下は1996年に設立され、演出家の長野和文を中心に、演劇と舞踏の境界を超える新しい表現スタイルを追求してきました。彼らは寺山修司の作品に独自の視点を加え、様々な舞台で上演しています。2006年以降は、三島由紀夫の作品の連続上演も行っており、国内外で高い評価を得ています。
公演の詳細
公演概要
- - 公演名: 池の下第30回公演『イエス、たぶん』
- - 公演期間: 2024年12月13日(金)〜15日(日)
- - 会場: 劇場MOMO(東京都中野区中野3-22-8)
出演者
スケジュール
- - 12月13日(金) 19:00開演
- - 12月14日(土) 14:00開演/18:00開演
- - 12月15日(日) 14:00開演
(開場は開演の30分前)
チケット情報
このように、デュラスが描く核戦争後という重いテーマが、池の下によってどのように表現されるのか、期待と興奮が募ります。ぜひ、劇場でその目撃者になってください!