都城市とEssenによる新たな試み
2024年10月からの約3ヶ月間、宮崎県都城市と株式会社Essen(本社:神奈川県川崎市)は、モビリティ広告プラットフォーム「WithDrive」を活用した新しいキャンペーンを実施しました。このプロジェクトは「ミートツーリズム」、つまり肉料理と焼酎を活かした観光促進を目的に進められ、広告対象エリアは大阪市中心部でした。10台の配送車を利用したラッピング広告を走行させ、その結果、ATデータに基づくすべての指標で目を見張る成果を収めました。
プロジェクトの背景と目的
都城市のデジタル統括課とEssenは、地域振興のための新しい手法として、モビリティ広告の利用を決定しました。広告を通じてミートツーリズムの魅力を周知し、都城市を訪れる旅行者を増加させることを目的としています。10台の車両に施されたラッピング広告は、「どこで・どんな人に広告が見られたのか」という効果を可視化するために、走行ログと匿名加工された人流データを統合しました。このようなデータの融合によって、より詳細な効果測定が実現しました。
成果の分析
この広告キャンペーンでは、広告接触者が110万人、視認者が31万人に達し、なんと1,281名が実際に都城市を訪れることになりました。その結果、経済効果としては推定約1,200万円を創出することに成功しています。
来訪率の向上
広告接触者の来訪率は、0.06%から0.36%へと大きく向上しました。この結果は、関西圏で接触した旅行者が、遠く離れた宮崎県まで足を運ぶことができるというモビリティ広告の有効性を示しています。
経済波及効果の試算
分析の結果、来訪者は日帰り客192人(全体の15%)、宿泊客384人(全体の30%)という結果が得られました。
また、令和5年の宮崎県観光統計によると、日帰り客は1人あたり7,241円、宿泊客は27,825円を消費することがわかっており、これを基に経済効果を試算すると、約12,086,404円の波及効果が確認されました。
行動特性の分析
この試みでは、GPSデータを用いて視認者数だけでなく、年齢や性別、嗜好を細かく把握しました。データに基づく分析により、大阪エリアの肉料理への関心が高い層をターゲットにした施策の有効性が確認されたのです。広告接触から来訪までの期間分析でも、中長期的な来訪者がいることがわかり、戦略的な広告展開が可能になりました。
自治体と企業の連携による未来
都城市の担当者は、今回の広告施策が単なる視覚的訴求だけでなく、実際の行動変容に寄与することができたことに自信を持っています。Essenの代表取締役、橘健吾氏は、関西での広告効果が九州への来訪に繋がった意義を強調しています。
都城市のデジタル化推進
都城市は令和元年にデジタル化推進を宣言し、CDOを設置して実践的な施策に挑んでいます。地域のデジタル化においても今後もさらなる取り組みが期待されます。
モビリティ広告という伝統的な手法とデータドリブンなアプローチが結びつくことによって、将来の地域振興発展に大きな期待が寄せられています。都城市とEssenの挑戦は、他の自治体や企業にインスピレーションを与えるでしょう。