静岡県三島のウイスキー蒸留所にて誕生した壁画
最近、静岡県三島市にあるウイスキー蒸留所に新たなアートが誕生しました。これは、株式会社OVER ALLsとWhiskey&Co.のコラボレーションによるもので、物々交換の形で制作された壁画です。アートとウイスキーが交差したこのプロジェクトは、従来の価値交換とは異なる新しい形の取り組みとして注目を集めています。
プロジェクトの背景
この壁画プロジェクトはOVER ALLsとWhiskey&Co.のコラボレーションとして3回目となります。OVER ALLsは、アートを制作する代わりに、Whiskey&Co.からカスク・ウイスキーのオーナー権という形でウイスキーそのものを受け取りました。資本を介さず、価値あるもの同士を直接交換するスタイルは、特にユニークと言えるでしょう。この取り組みは、アートという非物質的な価値とウイスキーという物質的な価値の結びつきを強調しています。
「美しいノイズ」の哲学
OVER ALLsは「Beautiful Noise(美しいノイズ)」というテーマのもと、社会との対話を促すために様々な取り組みをしています。この壁画プロジェクトもその一環で、これまで当たり前とされてきた構造に別の視点を持ち込む試みと位置づけられています。特に、壁画自体が街の中に新たな視覚的体験を提供し、観る人々に何かを考えさせる「美しいノイズ」であってほしいという思いが込められています。
壁画の詳細
壁画は三島市のウイスキー蒸留所に位置し、4面にわたる壮大な作品として仕上げられています。具体的な場所は、〒411-0824 静岡県三島市長伏155-14であり、倉庫の外壁部分では高さ7.2m、幅17.7mという大きさを誇ります。また、内壁文字面は高さ5m、幅11.7mとなっており、視覚的にも圧巻の存在感があります。
「天使の分け前」からのインスピレーション
この作品は、ウイスキーの熟成過程でアルコールと水分が蒸発し、最終的に生産量が減少する過程を示す「天使の分け前」という文化にインスパイアされています。そして、Whiskey&Co.のこれまでの作品における音楽へのオマージュも取り入れられており、見る者に深いメッセージを送り続けるでしょう。
また、もう一つの新しい壁画は、〒411-0853 静岡県三島市大社町6-1にあり、Whiskey&Co.のジン「Teen Spirits」のパッケージとしても使用されていることから、そのデザインが再描画されています。
OVER ALLsの概要
OVER ALLsは「ミューラル(壁画)の力で、人々を表現者に変える」ことをミッションに持ち、全国各地でアート作品を手がけています。制作には、依頼者に驚かれるほどの歴史や背景を調査し、想いを引き出すインタビューを重視。企業のメッセージや個人の思いを反映した作品を生み出しています。代表作には、エスコンフィールドHOKKAIDOで描かれた大谷選手とダルビッシュ選手の壁画や、東日本大震災から再生を模索する福島・双葉町のアートプロジェクトなどがあります。
おわりに
このプロジェクトを通じて、アートとウイスキーの結びつきは新たな地平を開くかもしれません。物々交換の形で成り立ったこの壁画は、見る人々に新たな価値を提供し、静岡県三島市がアートの発信地としてのポテンシャルを感じさせる場となることでしょう。今後の展開にも注目です。