デジタル庁が推進する「テクノロジーベースの規制改革」最新動向:ドローン活用やAI技術がもたらす変革
デジタル庁が推進する「テクノロジーベースの規制改革」最新動向:ドローン活用やAI技術がもたらす変革
デジタル庁は、デジタル社会形成の司令塔として、未来志向のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を大胆に推進し、デジタル時代の官民のインフラを一気呵成に作り上げることを目指しています。その一環として、2024年5月24日に開催された「デジタル関係制度改革検討会 テクノロジーベースの規制改革推進委員会(第2回)」では、ドローンやAI技術を活用した規制改革の最新動向と今後の課題について活発な議論が交わされました。
ドローンやAI技術による規制改革:具体的な事例と課題
委員会では、デジタル庁が2023年度に実施した32件の技術検証事業の結果が報告されました。その中でも、特に注目されたのは、ドローンやAI技術を活用した検査・調査の効率化、迅速化、そして安全性の向上に関する事例です。
具体的な事例として、以下のようなものが挙げられます。
遊園地の観覧車やジェットコースターの定期検査をドローンで行う実証実験: ドローンによる検査が、従来の人による目視検査と同等以上の精度を確保できることを確認しました。
災害時の住宅被害認定を、空撮画像とAIを用いて効率化する実証実験: 空撮画像を用いて浸水範囲を推定・特定することで、被害認定の迅速化が実現可能であることが示されました。
発電所のアナログ計器の読み取りを遠隔で行う実証実験: AIによる数値読み取りが、人による作業と同等の精度で実施できることを確認しました。
特別保護樹木の指定に必要な情報の取得をドローンで行う実証実験: ドローンを活用することで、従来の地上からの計測と比べて精度の向上が期待できることが分かりました。
一方で、これらの技術検証では、以下のような課題も浮き彫りになりました。
防爆仕様のドローンの不足
ドローン飛行許可や承認手続の煩雑さ
AIモデルの学習データ不足
運用コストの増加
技術検証から生まれた「技術カタログ」と「テクノロジーマップ」
これらの技術検証事業の結果を踏まえ、デジタル庁は、技術カタログとテクノロジーマップを整備しています。
技術カタログ: 技術検証を伴わずに、すぐに利用可能な技術やサービスを、公募によって集め、デジタル庁のホームページ上で公開しています。現時点で、スタートアップ企業を含む177件が掲載されています。
テクノロジーマップ: 規制分野別に、適用可能な技術を分類した地図です。技術検証の結果を踏まえ、新たにカバー可能な技術領域が追加されています。
今後の課題:技術カタログの活用促進と発注ガイドの必要性
委員会では、今後の課題として、技術カタログの活用促進と発注ガイドの必要性が強く指摘されました。
技術カタログの活用促進: 自治体や企業が、技術カタログに掲載されている技術を積極的に活用していくためのインセンティブが必要となります。
発注ガイドの必要性: 技術カタログに掲載されている技術を活用した発注を行う際に、必要な機能や性能、セキュリティに関する基準などを明確化したガイドラインが必要となります。
デジタル庁の今後の取り組み
デジタル庁は、これらの課題を解決するために、以下のような取り組みを計画しています。
技術検証の継続: 自治体と連携し、現場の実装を意識した技術検証を継続的に実施していきます。
技術カタログの充実: 検索機能やフィルタリング機能を追加し、利用者の利便性を向上させます。
* RegTechコンソーシアムの活性化: 会員同士の交流を促進し、情報共有や共同事業の機会を拡大します。
終わりに
デジタル庁は、ドローンやAI技術を活用した規制改革を積極的に推進することで、社会の効率化、迅速化、そして安全性の向上を目指しています。今後の取り組みが注目されます。