364年の伝統を受け継ぐ『松坂屋本店』
神奈川県箱根で、歴史ある旅館『松坂屋本店』を誇る株式会社金乃竹。この老舗は1662年の創業以来、国際的なビジネスと日本の伝統を融合させる挑戦を続けています。
そして2023年4月、初めて外部からの支配人が任命されました。その名は、『リン』と『サンジブ』。二人はそれぞれベトナムとネパール出身で、9年前にこの旅館に入社しました。当初は言語や文化の壁に苦しみながらも、日本のおもてなしの本質を追求し続け、接客の現場で重要な役割を果たしています。
初期の葛藤と挫折
リンは言葉の壁に直面し、入社早々に難しさを実感していました。「最初の頃は日本語が不十分で、お客様のご要望に応えることができなかった」と振り返ります。そんな中で、「分からないことは明確にする」と誓った彼女は、日本語を毎日学びながら、少しずつ成長していきました。
一方、サンジブは、日本の文化特有の「察する」おもてなしに苦しみました。「お客様のニーズを先回りする難しさを理解するのに時間がかかりました」と語る彼は、先輩の行動を観察し、その理屈を学ぶことで、ビジネスの視点から接客を進化させました。こうした試練が、彼らのプロフェッショナリズムの礎となったのです。
二人の成長とサービスの質の向上
9年の年月が経つ中で、二人はそれぞれの特性を生かしながら新しいスタイルで「おもてなし」を形にしていきました。
リンの目指す感性豊かなサービス
リンは、日本の伝統文化を大切にしながら、自身の感性を生かした接客を実践しています。特に、生け花や着付けの学びを通じて、お客様の小さな変化に気付く敏感な心を養っています。「お客様の気持ちを第一に考えたおもてなしが私の基本です」と、彼女はその思いを語ります。これにより顧客からの信頼を得て、頼られる存在に成長しました。
サンジブの論理的アプローチ
一方、サンジブは、旅館の業務改善に取り組み、再現可能な業務プロセスの構築を推進しました。彼は、デジタルツールを導入することで、業務効率を高め、チームメンバーがよりスムーズに連携できるような環境作りを行いました。「業務の見える化は、全体の品質向上につながる」と、彼はその成果に自信を持っています。
支配人の日常と彼らの絆
二人の日常は、対照的でありながらも、互いの強みを尊重することで成り立っています。リンはお客様との感情的なつながりを大切にし、サンジブは論理的なシステムを重視します。彼らはお互いの役割を理解し、完璧なパートナーシップを築いています。林は、「サンジブは具体的な問題解決能力を持っていて、信頼できる同僚です」と、その絆を強調します。
新たな挑戦と未来のビジョン
二人が描く未来のビジョンは、日本の伝統を守りつつ、国際的なチームで更なる進化を遂げることです。「世界中のスタッフと協力しながら、国内外のお客様にとって最も心地よい空間を創造したい」。そう語る二人の姿勢が、『松坂屋本店』の次なる300年の歴史に新しい風を吹き込むことでしょう。
このように、『松坂屋本店』はその長い歴史を生かしつつ、国際的な視野を持った新たなリーダーシップのもと、未来に向けて進化を続けています。