戦時下の「笑い」が問いかけるもの:貴重なSP盤から紐解く、漫才コンビの反骨精神
文化放送は、戦後79年となる今年、特別番組『戦後79年スペシャル 反骨の、漫才ユモレスク』を8月9日(金)午後8時より放送します。この番組では、戦時中のプロパガンダの中で生まれた漫才コンビ「リーガル千太・万吉」に焦点を当て、彼らの貴重な音源を通して、当時の社会状況と芸人魂を探ります。
昭和時代に入り、軍部の発言力が強まるにつれて、社会全体に規制が敷かれ始めました。新聞、ラジオ、映画、小説、雑誌、さらには紙芝居や流行歌までもが、国家の政策を宣伝する道具として利用されました。その流れは演芸の世界にも及び、落語、浪曲、講談など、人気のある大衆娯楽も「国策推進」「愛国実践」を訴える内容に染められていきました。
しかし、そんな息苦しい時代の中で、千太・万吉は、世相や戦争に対する皮肉を交え、ギリギリのネタで人々に「笑い」を提供しました。番組では、当時のSP盤から「国策歌謡」や「愛国浪曲」、そして千太・万吉の師匠である柳家金語楼の「国策落語」などを紹介し、当時の状況を浮き彫りにします。
特に注目すべきは、千太・万吉が残した漫才「朗らかな兵隊」シリーズです。このシリーズには、彼らの「笑い」に対する信念と、時代に対する反骨精神が色濃く反映されています。彼らは、厳しい状況下でも「漫才」というエンターテイメントを通して、人々に希望と勇気を与えようとしたのです。
番組では、アーサー・ビナード氏、鈴木純子アナウンサー、柏木新氏(話芸史研究家)が出演し、貴重な音源や資料を基に、当時の状況や千太・万吉の芸人魂について解説します。戦時中の「笑い」が、現代に何を問いかけてくるのか。ぜひ、この番組を通して、彼らの生き様と、時代を超越した「笑い」の力を感じてください。
番組概要
番組名: 戦後79年スペシャル 反骨の、漫才ユモレスク
放送日時: 2024年8月9日(金)午後8時00分~9時00分
出演: アーサー・ビナード、鈴木純子(文化放送アナウンサー)、柏木新(話芸史研究家)