株式会社カーボンフライが技術経営・イノベーション大賞を受賞
受賞の背景
株式会社カーボンフライが、第12回「技術経営・イノベーション大賞」において、JATES会長賞を獲得しました。この賞は、優れたイノベーション事例に与えられ、産業の活性化を目的としたものです。本年度は100件以上の応募の中から選ばれた10件の中にカーボンフライの技術が輝きました。
CNT技術の特徴と応用
カーボンフライが注力しているのは、カーボンナノチューブ(CNT)の産業利用です。CNTは、軽量でありながら高強度、高い熱伝導性や電気伝導性を兼ね備えているため、様々な分野での応用が期待されています。これまで研究機関では成果が得られていたものの、実用化には製造コストや量産性の問題が立ちはだかっていました。
新技術の導入
同社は、CNTの実用化を目指し、新たに開発した連続生産技術により、品質、コスト、量産性のすべてを満たすことに成功しました。この新しい方法により、導電助剤や構造材料、機能性樹脂の分野で優れた性能を発揮する製品の開発が可能になります。
特に注目すべきは、スパッタリングを用いた独自の触媒技術によって生産された高品質なCNTが、様々な用途に対応できるという点です。これにより、今後多くの産業でCNTが革新をもたらすことが期待されます。
事業化の歩み
株式会社カーボンフライは2022年1月に設立され、その後も目覚ましい成果を上げています。9月には三井化学賞を受賞し、2023年には高品質CNTの量産型製造装置「Caltema®」を発表しました。また、三菱ガス化学ネクストとの共同開発により、CNTハイブリッドプリプレグ「CyFT®」も誕生しました。さらに、リチウムイオン電池の性能向上を目指す「負極用分散液」の開発や、スポーツ用品のアイデア研究開発への美津濃との業務提携も行っています。
カーボンフライの未来
カーボンフライはCNT技術を中心に事業を推進し、今後も多くの分野での展開が期待されています。特に、リチウムイオン電池だけでなく、航空宇宙産業やエネルギーの分野までカバーする基礎素材となる可能性が大きいです。また、CO2を原料にしたCNT研究も進めており、カーボンニュートラル社会へ貢献する取り組みも注目されています。
まとめ
株式会社カーボンフライは、CNT技術の実用化を進めることで、社会に革新をもたらす存在となっています。今後の展開に期待が寄せられる中、技術経営・イノベーション大賞の受賞がどのような影響を及ぼすのか、注目していきたいと思います。