大阪ガス、画期的なCO2分離技術を活用した実証試験を開始
大阪ガス、画期的なCO2分離技術の実証試験開始
大阪ガス株式会社は、JFEエンジニアリング株式会社と共に、カーボンニュートラル化を目指すケミカルルーピング燃焼技術に基づく実証試験を開始しました。この試験は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業に採択されたもので、バイオマスや有機廃液を用いた電力・水素・二酸化炭素(CO2)の同時製造を目指しています。
このプロセスの実証試験は、固体燃料を直接反応器に投入し、電力、 水素、CO2を同時に製造するという、世界初の取り組みです。ケミカルルーピング燃焼技術は、空気中の酸素を利用せず、金属酸化物中の酸素を燃焼に使用することで、混入する窒素や窒素酸化物がなく、より高純度なCO2を分離・回収できるのが特長です。これにより、環境負荷を低減しつつ効率的な発電が期待されます。
画期的な技術とは?
この燃焼技術では、バイオマスから得られる燃料が反応に使われ、その過程で生成された熱を発電用蒸気として利用できるだけでなく、反応により水素も生成されます。この金属酸化物は、反応の後、元の状態に戻り、再び使用されるため、循環利用が可能です。こうした特性から、ケミカルルーピング燃焼と呼ばれています。
さらに、バイオマス燃料を利用することで生成される電力や水素はカーボンニュートラルの特性を持ち、環境に優しいエネルギー供給を実現します。有機廃液を原料とした場合も同様に、廃棄物をリサイクルしながらエネルギーを生み出せるという利点があります。
実証試験の詳細
大阪ガスは、2020年度からNEDOの委託事業の一環として、金属酸化物の選定や流動性確認などの重要な技術開発に着手しました。これにより、300 kW級のケミカルルーピング燃焼装置の基本設計を行い、新たな技術を前進させる成果を収めています。
今後、この実証試験は2027年度まで続けられ、大阪市此花区の酉島事業所において300 kW級の実証機を建設し、バイオマスや有機廃液を利用した実証試験を進める計画です。
大阪ガスとしては、実証機の建設に向けた管理を担当し、JFEエンジニアリングはその設計や品質管理を行います。また、実証機が運用される中で得られるデータは、次なるスケールアップの検討材料として活用される予定です。
ビジョンと目標
Daigasグループは、本事業から得られた知見を元に、最終的にはバイオマスや有機廃液から電力や水素、CO2を製造するプラントの商用化を目指しています。これらは、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーを求める顧客に提供されることを想定しています。
Daigasグループは、「エネルギートランジション2050」に基づき、カーボンニュートラル社会の実現に貢献する技術とサービスの開発を進めており、気候変動をはじめとする社会問題の解決に向け、さらなる成長を目指しています。これにより、暮らしやビジネスにおける進化を支える企業としての役割を果たすことを目指しています。
会社情報
- 会社名
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Daigasグループ
- 住所
- 大阪府大阪市中央区平野町4丁目1番2号
- 電話番号
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