健康と移動の新たな形
埼玉高速鉄道株式会社(さいたま市)と株式会社RDS(東京都新宿区)は、健康と移動をテーマにした連携協定を結びました。この協力によって、両社は駅やその周辺での健康促進を支援し、特に歩行データを活用した未病対策に取り組むことを目指しています。
連携協定の主な内容
この連携協定には以下のような要点が含まれています:
1.
歩行データの収集と健康アドバイス: 駅利用者や沿線住民の歩行データを収集し、それに基づいた健康に関するアドバイスを提供します。
2.
セミナーの実施: 健康アドバイスに関連するセミナーやイベントを開催し、地域社会の健康意識を高める取り組みを行います。
3.
研究開発: 歩行データの新たな収集方法や、駅の活用法についての研究を進め、今後のインフラ整備にも役立てます。
4.
その他の事項: 双方が合意した他の重要事項についても検討していきます。
子育て支援と健康促進
埼玉高速鉄道は、子育て世代が多く住む地域での「駅から始まる子育て支援」を掲げています。これには、鉄道施設内への保育施設誘致や授乳・おむつ交換の支援ルームの設置、また子供向けカルチャースクールの開催などが含まれています。
今後、日本は少子高齢化が進行し、高齢者が増加する中で医療や介護サービスの需要も増大しています。このような課題に対処するためには、健康的な生活を維持し、「健康寿命」を延ばすことが重要です。特に、転倒による骨折などは健康寿命を縮める要因とされており、これに関連した「歩行」は非常に重要なテーマです。
歩行解析の重要性
本プロジェクトにおいて、RDSが提供する歩行解析ロボット『RDS CORE-Ler』を活用します。このロボットは、3Dカメラを用いて歩行の姿勢や動きを測定し、そのデータをクラウド上で解析します。従来の高価な動作解析システムに比べ、安価で簡便に高精度な歩行データを得ることが可能です。
歩行解析ロボット『RDS CORE-Ler』
このロボットは、従来のシステムのようにマーカーを必要とせず、被験者はただ平らな直線を10m歩くだけで測定が完了します。こうした分析システムを通じて、健康に関連するさまざまな病気の早期発見や未病対策が期待されています。
実証実験から次のステップへ
これまで、埼玉高速鉄道とRDSは社内で社員を対象に歩行解析を実施してきましたが、今後は地域の一般の方々を対象とした歩行分析を広げていく計画です。
10月27日に行われる「浦和美園まつり」では、駅での歩行解析デモが予定されており、この機会に多くの人々に体験してもらうことが期待されています。
イベント詳細
このイベントでは、歩行解析の他にも、分離・合体が可能なプラットフォーム型モビリティ「Raptor」の展示や、パラスポーツの祭典で銅メダルを獲得した伊藤智也選手のレーサー「RDS WF01TR」も展示予定です。詳細や今後の取り組みについては、埼玉高速鉄道とRDSの公式サイトでご確認ください。
終わりに
埼玉高速鉄道の平野邦彦社長は、「駅を活用して沿線住民の健康を支援し、地域活性化に寄与したい」と述べています。一方、RDSの杉原行里社長も「新たなバイオマーカーとして身体データを社会に役立てることがこの連携の大きな意味である」と強調しています。この協定は、少子高齢化が進む日本において、新たな健康支援の選択肢となることを目指しています。