大川市発の持続可能な家具製造
福岡県大川市は、長い伝統を持つ家具の街として知られています。そこで新たに注目を浴びているのが、株式会社井上企画が開発した「コロノチェア」です。このプロジェクトは、木材の廃材を利用し、最新の3Dプリント技術を駆使することで、次世代の家具を提供することを目指しています。
循環型の素材開発
「コロノチェア」の最大の特徴は、広葉樹の廃材を使用した新素材の開発です。井上企画は、粉砕した木材をペレット化し、そのペレットを使って3Dプリントを行うことで、木材の質感や色合いを活かしつつ、高い強度と耐久性を持つ製品を生み出しています。また、この方法により、製造過程で発生する加工屑も無駄にすることなく、資源を最大限に活用する循環型の事業運営が実現されています。
技術の融合によるユニークなデザイン
このプロジェクトで協力しているのは、椅子の加工に定評のあるモリタインテリア工業です。両社は、それぞれの技術を結集し、自宅のダイニングにぴったりの自然なデザインの椅子を目指しています。コロノチェアは、ケヤキ材のフレームと3Dプリントパーツを組み合わせたデザインで、シンプルながらも魅力的な形状をしています。
環境へ配慮した製品づくり
使用される材料がすべて同じ種類の木材であるため、色調の調和が取れ、デザインが一段と引き立ちます。また、3Dプリントの特性を活かして、座面や背もたれの硬さを調整することも可能です。このようにして、ユーザーのニーズに応えられる製品づくりを実現しています。
今後、3Dプリント技術を駆使することで、従来技術に頼らざるを得なかった企業も新たなパーツを製造し、家具業界に新しい価値を提供できると期待されます。
サステナブルマテリアル展での展示
このたび、コロノチェアが2024年10月29日から31日まで幕張メッセで開催されるサステナブルマテリアル展に出展されます。展示ブースでは、3Dプリント技術を活用した家具の魅力をアピールし、多くの来場者にアプローチする予定です。
会社の背景
井上企画は大正元年に設立された歴史ある会社で、福岡県大川市に本社を置き、木材の販売、加工、製品企画など多岐にわたる事業を展開しています。様々な素材の開発に注力し、地域の環境に配慮した事業を行うことをモットーとしています。モリタインテリア工業とともに、長く使ってもらえる家具作りにこだわり、Slow Furnitureを意識した製品づくりも続けています。
このように、大川市の家具業界は、匠の技術と最新技術を融合させながら、持続可能な未来に向けた挑戦を続けています。「コロノチェア」はその象徴として、今後の成長が期待されます。ぜひ、サステナブルマテリアル展で実物を体験してみてください。