避難所受け入れ実態調査：デジタル化進展の必要性が明らかに

災害時における避難所の運営は、迅速かつ効果的に行われることが求められます。しかし、最近の調査からは多くの課題が挙げられ、特に避難者の情報管理において約半数の自治体が手書き記入に依存していることが明らかになりました。この調査を実施したのは、長野県飯田市に本社を置くテレネット株式会社です。

調査の概要

テレネット株式会社が行った調査は、危機管理に携わった経験を持つ自治体職員414人を対象に、2024年8月13日から14日までの2日間にわたり実施されました。この調査の目的は、災害発生時における避難所の受け入れ態勢やその運営に関する実態を把握することです。

避難所運営での課題

調査によると、最も多くの職員が「避難所入所退所時の受付混雑」を主要な課題として挙げました。その後に続いたのは「衛生管理と感染症対策」や「避難者への情報の伝達と共有」といった項目でした。このような事態は、避難者に不便を強いることになり、効果的な避難所運営の妨げとなる可能性があります。

また、避難者情報の把握方法としては、47.1%が「避難者カード等への手書き記入」と答え、次いで30.7%が「自治体側が用意したパソコンやタブレットを使用」としました。このような実態から、自体によってはデジタル化が進んでいる一方で、依然として多くの自治体がアナログな手法に依存していることがわかります。

情報管理の課題

避難者情報の管理については、個人情報漏洩の危惧や他の自治体との情報共有の一元化が不十分であるという意見が寄せられました。これに加え、通信網の遮断時においても情報収集が困難になるため、デジタルツールの重要性がさらに強調される結果となりました。

防災備蓄品の管理

次に、防災備蓄品の管理について質問したところ、52.9%が「エクセルやスプレッドシート」を利用しているとの回答が得られました。一方で、34.8%は未だ手書き書類による管理を行っており、デジタル化が進んでいると同時に、根強くアナログ手法も残存している現状が浮かび上がりました。特に在庫の確認や賞味期限管理において負担に感じている自治体職員が多いこともわかりました。

遠方の家族への安否確認

調査では、遠方に住む家族の安否確認についても質問が行われました。55.8%が「災害用伝言板サービス」（171など）を利用していると回答し、迅速な情報伝達手段として重要な役割を果たしています。その他にも、災害用伝言板のWeb171や自治体のホームページで安否情報を提供する方法が普及していることが明らかになりました。

避難所管理サービスのニーズ

さらに、避難所を開設した経験を持つ職員に対して、運営上の課題を尋ねたところ、物資不足や心のケアなどが挙げられました。このような状況を改善するためには、効率的で自動化された管理システムの導入が必要とされています。

デジタル化の重要性

最終的には、避難所運営の効率化が急務であり、特に避難者情報のデジタル化が求められることが明らかとなりました。テレネット株式会社が提供する「らくらく避難所くん」は、マイナンバーカードや運転免許証などを使った自動受付機能を持ち、避難所の運営をスムーズにすることが期待されています。これにより、避難者へのサービス向上が図られるでしょう。