機能性表示食品の市場トレンド:進化と課題
機能性表示食品は、特定の保健の機能を表示できる食品として、近年注目を集めています。2015年の制度開始から、届出件数は増加傾向にありましたが、近年は横ばいとなっています。これは、市場の成熟と同時に、消費者からの厳しい目が向けられるようになったことを示唆しています。
届出数と撤回数の推移:増加から横ばい、そして厳格化へ
2024年現在、機能性表示食品の届出数は8500件を超えています。初期は増加傾向でしたが、ここ3年間は横ばいです。一方、撤回数は2023年に増加しました。これは、科学的根拠の不足や商品販売終了などが要因と考えられます。
今後、機能性表示食品制度は改正され、届出後の管理が厳格化される予定です。自己点検の実施や報告義務などが設けられることで、撤回数はさらに増加する可能性があります。
企業別届出ランキング:トップ企業の顔ぶれは変わらず
機能性表示食品の届出を行っている企業は、製薬会社、食品メーカー、化粧品会社など多岐にわたります。
2024年の届出件数が多い上位10社は以下のとおりです。
1. 株式会社東洋新薬
2. 森永乳業株式会社
3. 株式会社ファイン
4. 株式会社伊藤園
5. アサヒ飲料株式会社
6. 小林製薬株式会社
7. アサヒグループ食品株式会社
8. 株式会社常磐植物化学研究所
9. 江崎グリコ株式会社
10. 森永製菓株式会社
上位10社には変化はなく、業界のベテラン企業が依然として市場を牽引していることがわかります。
機能性関与成分:GABAが依然トップ!
機能性表示食品に表示できる効果は、法律で定められており、限られています。そのため、多くの企業が同じような効果を訴求する傾向にあります。
機能性関与成分の人気ランキングでは、依然としてGABAがトップです。表示できる機能性の幅が広く、多くの商品に使用されています。
その他、乳酸菌、ルテイン、ポリメトキシフラボン、グルコシルセラミド、イヌリンなども人気成分として挙げられます。
表示される機能性:血糖値、中性脂肪、疲労感が上位を占める
機能性表示食品では、血糖値、中性脂肪、疲労感、BMI、内臓脂肪などの機能性の表示が多く見られます。これらの機能性は、健康意識の高い消費者にとって関心が高い分野であると言えます。
近年では、「排便回数を減らす」といった新しい訴求も登場しています。
体の部位:お腹、肌、目が人気
機能性表示食品には、特定の体の部位に効果がある旨の表示がされる場合もあります。
お腹、肌、目、ひざなどの部位への訴求が多く見られます。
以前は「脳」への訴求も見られましたが、認知機能に関わる表示に対して改善指導が出されたことから、新規の届出では使われなくなりました。
最近では、「のど」への訴求が見られるようになってきています。
今後の展望:科学的根拠に基づいた商品開発が求められる
機能性表示食品は、科学的根拠に基づいた商品開発が重要です。消費者からの信頼を得るためには、商品の効果や安全性について、明確な根拠を示す必要があります。
また、消費者のニーズを的確に捉え、新しい機能性や商品を開発していくことが求められます。
※本記事の内容は、株式会社UOCCが提供する「薬事法マーケティングの教科書」調査に基づいています。
薬事法マーケティングの教科書
株式会社UOCC