2025年11月の国内景気動向
2025年11月時点の国内景気は、株式会社帝国データバンクの調査によれば、景気DI(景気動向指数)が前月比で0.2ポイント増の44.1となり、2020年11月以来、6カ月連続での改善を見せています。これは、観光産業や半導体関連の需要が好調であることが影響しています。ただし、仕入単価の上昇が経済の足かせとなっており、今後の国内景気の動向には注目が集まっています。
改善の具体的な要因
11月は伝統的な秋の旅行シーズンが到来し、観光業が活発を見せています。旅館やホテルの需要が高まり、特にインバウンド需要が観光業を刺激しました。また、農業、林業、水産業の景況感も上向き、こちらは2カ月連続で過去最高を更新しています。半導体や電気機械の生産もAI需要の拡大により順調です。これにより、サービス業の労働者は時間外労働が増加している状況です。
しかしながら、原材料価格の上昇や自然災害による影響もあり、常にプラスの方向に進む訳ではありません。特に、熊の出没によって外出が控えられる地域もあり、これが小売業に悪影響を及ぼしました。
今後の見通し
国内経済の今後の見通しとしては、日中、米中関係の動向が重要な鍵を握ると考えられています。賃上げや冬季賞与に関連した経済対策が家計の実質購買力を回復させる可能性がある一方、長期金利の上昇や人手不足、為替レートの変動といった懸念材料もあります。全体としては、小幅な変動を伴いながらも緩やかな改善基調が続く見込みです。
業界別の状況
5つの業界で改善が見られた一方で、悪化した業界も存在しました。特に、運輸・倉庫業界は前月比で1.3ポイント増加し、旅行需要の影響が顕著です。また、卸売業も若干の改善が見られ、医療関連商品が好調です。
一方で、飲食業は厳しい状況にあり、人件費や原材料費の高騰が響いており、3か月連続で悪化しています。小売業全体では、節約志向が根強く、特に家具や家電の需要が落ち込んでいます。
さらに、大企業と中小企業は改善が見られたものの、小規模企業は悪化傾向にあり、業界や地域による差異が見られる結果となっています。
地域別の評価
地域別では、南関東や四国などの一部地域が好調ながら、北海道などでは悪化が確認されています。建設やイベント関連の需要が地域経済に影響を与えており、各地域の事情に応じた対応が求められるところです。
今月のトピックス
特筆すべきは、就任2か月を迎えた高市政権に対する企業の期待感です。ポジティブな意見が全体の半数を超え、高市政権の政策に対する信任が伺えます。一方で、今後の経済に対して不安を抱く意見もあるものの、ネガティブな意見は1割を下回る結果となっています。
次回の発表は2026年1月8日に予定されており、どのような動向が見られるか注目が集まります。