JALグループとパワーエックスの連携
日本航空(JAL)グループと株式会社パワーエックスが手を組み、農業における次世代のカーボンゼロを目指す取り組みが注目されています。岡山県玉野市にあるパワーエックスの蓄電システム「PowerX Cube」を利用し、夏でもいちごを栽培できる実証プロジェクトが成功を収めました。
1. カーボンゼロ農業の実証
この実証プロジェクトは、JAL、JAL Agriport株式会社(JAGRI)、そしてパワーエックスの協力により進められており、特に「PowerX Cube」の導入が重要な役割を果たしています。2026年の夏季において、初めてのいちごの収穫が行われました。使用した品種は、農業・食品産業技術総合研究機構が開発した「よつぼし」で、順調に収穫が開始されました。このいちごは、成田地区のスーパーマーケットや関東近郊のパティスリーで販売されています。
2. 環境への配慮
この取り組みでは、太陽光発電による電力と、PowerX Cubeを活用した蓄電システムを駆使し、高まる空調需要を賄うことに成功しました。特に2026年6月から7月にかけて、農園の電力の約60%を再生可能エネルギーで賄うことができ、系統からの電力購入を約11,500kWh削減。これは、月約28万円の電気料金削減に加え、年間にすると約4.9トンのCO2削減に匹敵します。
3. 収益性の向上
いちごの生産は通常、冬から春の時期に行われるため、夏の供給量が減少し、価格が高騰することがあります。今回の実証で、流通の少ない夏でも収穫できる体制が整い、農業経営の効率を向上させることが期待されています。また、最近の気温上昇に伴い、いちごの生育にはハウス内の温湿度管理が必要ですが、その電力を再生可能エネルギーでカバーすることで、環境への配慮も図られています。
4. 未来への展望
今後も3社は、蓄電システムの制御を最適化し、自家消費率の向上を目指します。加えて、実証を通じて得た知見を生かして、他地域へのカーボンゼロ農業モデルの展開といった新たなビジネスモデルの策定にも取り組みます。これにより、農業全体の効率改善や環境負荷の低減を図る予定です。
5. 「PowerX Cube」について
「PowerX Cube」は、パワーエックスが開発した中型産業用の蓄電システムで、358kWhの蓄電容量を誇ります。このシステムは商業施設や工場でのピークカットや自家消費に利用され、災害時には事業継続計画(BCP)の電源としても活用されます。今回のプロジェクトで、夏場の空調需要に応じた電力供給を行い、農業の持続可能性を高めています。
本プロジェクトを通じて、より多くの地域がカーボンゼロに向けての取り組みを進め、持続可能な農業が実現されることを期待しています。