CFRP革命的リサイクル法
2024-12-16 11:15:18

新技術でCFRP廃棄物を劇的にリサイクル、エネルギー効率10倍達成

新たなリサイクル革命:CFRPの高効率な廃棄物処理法



早稲田大学の研究チームが、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)から炭素繊維を効率的に回収する新しい手法を開発しました。この技術は、加熱や薬剤を全く必要とせず、従来の手法に比べてエネルギー効率が10倍も高いという革新的な特徴を持っています。

研究の背景とCFRPの利用足りない点



CFRPは、その高強度と軽量特性により、航空機や自動車、さらには風力発電など多岐にわたる分野での利用が進んでいます。しかし、そのリサイクルには大きな課題があるのも事実です。特に、樹脂マトリックスから炭素繊維を効率的に分離する過程が難しく、このままでは循環型社会の実現が遠のいてしまう恐れがあります。

従来のリサイクル技術は、粉砕、熱分解、化学分解などが一般的でしたが、これらは炭素繊維の強度を著しく低下させたり、環境に負荷をかけたりする問題が改善の必要がありました。

開発された新技術の特長



新たに開発された『電気パルス直接放電法』は、従来の電気パルス水中破砕法を改良したもので、高電圧のパルスをCFRP内部に直接放電することにより、ジュール熱を利用して瞬時に樹脂を気化させ、膨張力を使って炭素繊維を分離します。この方法であれば、炭素繊維の長さや強度をほぼそのまま保ちつつ、エネルギー効率を大幅に向上させた回収が可能です。

実際、回収された炭素繊維は元の強度の81%を保持し、加えて付着樹脂も少なく、表面のクラックもほとんど見られないため、再利用の可能性が広がっています。

研究の社会的意義



この成果によって、処理が難しいCFRP廃棄物の効果的な前処理法が確立されることで、航空機や風力発電などで発生する廃棄物を資源として活用できる道が開かれました。また、リチウムイオン電池など、他の複合材料にも応用が期待されており、環境負荷を低減しつつ資源を有効活用するサーキュラーエコノミー実現への一歩となるでしょう。

残された課題と展望



この技術は新しい可能性を示しましたが、いくつかの課題も残されています。1回のパルス照射で回収される量がまだ少なく、今後はプロセスの最適化や電極構造の改良が求められます。また、回収された繊維の方向性が揃っていないため、均一な処理が可能なプロセスの開発も必要です。

本研究の成果は、2024年11月30日付けで『Scientific Reports』に掲載され、大きな注目を集めています。この技術の実用化が進むことで、持続可能な社会を実現するための重要なステップとなることが期待されています。

結論



本研究は、CFRPリサイクルの新たな選択肢を提供し、資源循環型社会の構築に向けた大きな一歩となります。今後の進展が楽しみです。


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