モバイルバッテリーの利用と防災意識
最近の調査で、企業のBCP(事業継続計画)担当者の間で防災対策としてのモバイルバッテリーに関する重要な実態が明らかになりました。これを受けて、INFORICHとJX通信社は、災害時におけるモバイルバッテリーの役割と、企業や個人の準備状況について考察します。
調査の背景と目的
調査は、2025年8月27日から28日にかけて行われ、300名以上の会社員や役員を対象に実施されました。その中にはBCP担当者も含まれており、防災の観点からモバイルバッテリーの現状を把握することが目的とされました。スマートフォンの普及が進む中で、情報収集の手段としての重要性は高まっていますが、災害時にこの機器が使えなくなるリスクも指摘されています。特に、停電や充電手段の不足が大きな懸念です。
調査結果の概要
1. 災害時の不安要素
調査の結果、73.5%の人々が災害発生時に「家族の安否」を最優先の不安要素として挙げました。次いで「自身の安全確保」が48.2%を占め、スマートフォンの充電切れを気にする人は26.9%に過ぎませんでした。これは、スマートフォンが連絡手段としての役割を担い、充電が切れていることによる情報遮断がどれだけ重要かを示しています。
2. モバイルバッテリーの所有状況
調査によれば、防災策としてモバイルバッテリーを所有している人は65.4%でしたが、充電切れとの関連を考慮すると、使用タイミングで充電が切れていたという経験のある人が51%いることも明らかになりました。これは準備が万全でないことを示唆しています。
3. 企業のBCPにおける意識
企業のBCP担当者の82.5%が「従業員の安否確認」を最優先としており、98%の担当者がBCP推進においてスマートフォンの充電切れをリスクと認識しています。それにもかかわらず、防災用モバイルバッテリーを備蓄している企業は38.8%にとどまっている状況です。
4. モバイルバッテリーのリスク
多くのBCP担当者が経年劣化や発火リスクを懸念しており、これが備蓄に対する大きな課題となっています。特に、発火リスクは企業の防災体制を脅かす要因として強く認識されています。
5. 災害時の情報収集に対する不安
災害時にインターネットのみで情報収集を行うことに懸念を持つBCP担当者は79.6%に達し、また、偽情報やフェイクニュースに対する不安も78.6%を占めました。これは、災害時における情報の信頼性が大きな問題であることを示しています。
結論
本調査を通じて、モバイルバッテリーが災害時の情報取得や連絡手段として重要であることが再確認されました。しかし、企業と個人の両方でその準備が不十分である現状も浮き彫りとなっています。特に、偽情報や発信源不明の情報の懸念は、企業のBCP体制において見直しを促すきっかけとなるでしょう。これらを踏まえ、各企業や組織は防災対策の再点検と改善を行う必要があります。