1980年代のアメリカ美術を代表するアーティスト、キース・ヘリングは、愛や平等、人権といったテーマを作品に込めていました。特に1980年代後半には、拡大するエイズ・エピデミックの中で、「エイズ」患者やその家族、コミュニティの支援活動に深く関わりました。1988年には、ヘリング自身も「エイズ」を発症と診断されましたが、それ以降もアート活動を通じて正しい理解を広げることに尽力しました。
ヘリングの遺志を受け継ぐ中村キース・ヘリング美術館では、今年の「世界エイズデー」を若い世代へ向けて「HIV・エイズの歴史と現在」を紹介します。美術館での資料展示やコンドームの無料配布に加え、鹿児島でのポップアップショップも同時開催することで、ヘリングの活動とHIV・エイズをとりまく現在的な課題を広く知ってもらいたいと考えています。
イベントでは、ヘリングが生前に制作した「エイズ」に関連するポスターや資料を展示。昨年新たに収蔵されたポスター「ストップ・エイズ」は、今回初めて公開されます。また、1988年に制作された「エイズ:真実で恐怖をなくそう」のガイドブックとポスターも展示されます。このガイドブックは、10代のためにわかりやすく当時のHIV・エイズに関する情報をまとめたものです。さらに、HIV・エイズの歴史をまとめた年表も展示されます。
コンドームの無料配布は、相模ゴム工業株式会社の協力のもと行われます。同社は、1933年、創業者が日本で最初のラテックス製コンドームを開発・発売した会社です。2005年からヘリングのアートがデザインされたコンドームを製造・販売しており、「セーフ・セックス」の重要性を作品を通して訴え続けたヘリングの活動に賛同しています。今回のイベントでは、昨年リニューアルしたパッケージの1個入りコンドーム500個を配布予定です。ショップでは、「ACT UP」
のグッズや書籍などHIVコミュニティをサポートできるグッズも販売されます。
ACT UP(アクトアップ):1987年3月にニューヨークで結成されたエイズ予防啓蒙団体
鹿児島県鹿児島市では、コーヒーショップ「LUCK APARTMENT」にて、世界エイズデーにちなんで、キース・ヘリングのアートを通じて「HIV・エイズについて知ろう!」というコンセプトのもと、ポップアップショップを開催します。