碧南火力発電所のアンモニア燃焼実証が注目を集める
2023年度、一般社団法人エンジニアリング協会は、株式会社JERAが運営する碧南火力発電所4号機でのアンモニア燃焼実証が評価され、エンジニアリング奨励特別賞を授与した。これは、エンジニアリング産業の発展に寄与した企業や個人に贈られるもので、特にその技術が将来の産業に与えるインパクトが注目された結果である。
燃料の新しい選択肢、アンモニア
受賞の背景には、2024年度に行われた燃料アンモニアの大規模転換実証試験がある。この試験は、熱量比20%でのアンモニア転換に関するもので、燃焼性、プラント運用性、安全性などの評価項目で優れた結果を示した。これにより、争いなく火力発電の脱炭素化への道が開かれた。
技術の進展とその評価
IHIは2010年代の半ばから、アンモニアの燃料利用に着目し技術開発を進めてきた。具体的には、2017年度から実施された内閣府の戦略的イノベーション創造プログラムが契機となり、石炭火力発電用ボイラでのアンモニア燃焼の実現可能性を検討した。その後、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)からの支援を受け、2021年度からは具体的な実証試験を進めることとなった。
安全性と国際基準の策定
IHIは技術開発に加え、アンモニアの安全な燃料利用に向けたルール策定にも取り組んでおり、実証試験の成果は技術仕様書の策定にもつながった。国際基準の策定にはISO/TS 21343が関与しており、今後の燃料の安全な取り扱いを目的にしている。
将来への展望
今回の実証試験の成功により、JERAは他の火力発電所へもこの取り組みを展開し、持続的なエネルギー供給の実現に向けた一歩を踏み出すことが期待される。アンモニア燃焼技術の普及は、環境負荷を軽減しつつ電力供給の安定化にも寄与することが見込まれ、我々の未来のエネルギー構造に大きな影響を与えることになるだろう。これからもIHIは、持続可能な社会を目指し、アンモニアの早期普及を推進していくという。
このように、碧南火力発電所の取り組みは、持続可能なエネルギー供給の新たな方向性を示すものであり、今後の発展が非常に楽しみである。