官公庁初の電気推進清掃船が誕生
川崎市は、国内の官公庁として初めて電気推進型の清掃船を2隻導入した。この記念すべき日は2023年10月4日で、同市船客待合所で完成式典が行われた。これにより、環境への配慮が一層強まることが期待されている。新たに稼働する清掃船の名称は市民から公募され、「つつじ」と「みらい」と名付けられた。
環境保護への一歩
川崎市は、2050年までに温室効果ガスを実質ゼロにすることを目指す「川崎港港湾脱炭素化推進計画」を昨年策定。清掃船の電動化はその取り組みの一環であり、年間約45トンの二酸化炭素を削減することが見込まれている。これまでは老朽化した「つばき」と「第一清港丸」が使用されていたが、これらの後継船として新たに設計された。
清掃船「つつじ」の特徴
「つつじ」は、双胴型の清掃船で、長さ13メートル、幅6.4メートル、高さ2.1メートルのサイズを持つ。船体は耐食アルミニウム合金で、80kWの主機関が2基搭載され、最大速力は7.6ノット。また、前面にはローターを装備しており、大量の浮遊ごみを効率的に収集できる。充電には約5時間かかり、417kWhのバッテリーを搭載。これにより、約10時間の航行が可能となる。」「つつじ」のごみ収容能力は15㎥、つまり約3トンだ。
清掃船「みらい」の特徴
一方、「みらい」は10.25メートルの単胴作業船で、小型の特性を生かし狭い区域や岸壁沿いの浮遊ごみの収集を担当する。総トン数は4.9トン、最大速力は約13ノット。バッテリー容量は72kWhで、約7時間の航行が可能。船体はFRP製で、軽量かつ耐久性がある特徴を持つ。こちらも十分なごみ収容能力を兼ね備えている。
地元の関与とデザイン
このプロジェクトには地域の関与が大きく寄与しており、船体デザインは地元の高校生によって制作された。船名も市民の声を参考にしたもので、その結果、川崎市のアイデンティティを持つ船が誕生したことも、この取り組みの大きな魅力である。
清掃活動の現状
川崎清港会が委託され、浮遊ごみの収集作業は月曜日から金曜日の原則として午前と午後に行われている。台風などで大量にゴミが発生した際には、特別に作業を行い、収集したごみは厳密に分別され処分されている。収集量は高度経済成長期に比べ激減しているが、今後新型清掃船の導入によってさらなる減少が期待されている。
今後の展望
川崎市は、電動清掃船による新たな海面清掃が地域環境の向上に寄与するとともに、他の都市や国への先進的な取り組みとしても意義を持つ。未来を見据えたこのプロジェクトが、地域社会と環境にどのような影響をもたらすのか、今後の動向に注目が集まる。