はじめに
株式会社月刊総務が実施した2025年における総務部門のトレンドに関する調査結果が発表されました。対象は全国の総務担当者142名からの回答で、今後の総務部門の役割と課題が浮き彫りとなっています。
調査結果概要
調査によると、約3割の総務担当者が「戦略総務」を実践しているとのことですが、経営判断における総務の影響力の実感は減少傾向にあります。2025年の注力テーマとしては「DX」と「社内コミュニケーション」、さらに「コンプライアンス」が挙げられています。
戦略総務とは
戦略総務とは、単なる事務作業を超え、経営層に対して積極的に提案を行い、企業価値を向上させる役割を担う部門を指します。しかし、現実には戦略総務を実施していると感じる人は約3割という結果が浮かび上がっており、課題は依然として多いことが分かります。
2025年の注力テーマ
調査では、課題が最も多いテーマとして「社内コミュニケーション」が52.8%を占め、次いで「DX」(47.2%)、「コンプライアンス」(42.3%)という結果でした。一方、2025年に力を注ぎたいテーマとして、最も多かったのは「DX」で32.4%を占めています。これは、今後の総務部門の方向性を示す重要なポイントです。特にデジタル変革は、企業全体の効率向上に寄与すると期待されています。
総務の仕事の評価
調査の結果、約半数(47.2%)が自身の仕事が正当に評価されていると感じており、前年に比べて5.9ポイントの増加が見られます。しかしながら、評価が難しいとの声も多く、業務の数値化や評価基準の見直しが求められています。
経営判断における総務の影響力
経営判断において約6割が「総務の影響力がある」と回答していますが、この数字は前回調査から12.5ポイントの減少を示しております。この結果から、総務部門が経営に対して果たす役割の認識が薄れつつあることが懸念されます。
2030年のビジョン
現時点の総務の役割は「なんでも屋」とも言われており、2030年には「経営の参謀」や「プロフェッショナル集団」として信頼される存在になりたいとの意見が多く出ています。このビジョンに向け、総務部門が自らの業務を見直し、専門性を高める必要があります。
AIエージェント活用の現状
また、調査ではAIエージェントを業務に活用している総務部門はわずか5.6%に留まっており、将来的な業務改善に向けた課題が山積しています。今後、AIの導入が一層進むことで業務効率が向上することが期待されています。
賃上げ状況
新卒の初任給や全体的なベアに関して、約4割の企業で賃上げを予定していることが分かりました。これは総務が人事と密接に関連した役割を持っていることを示しています。他方で、9割以上の総務が副業を行っておらず、労働環境の改善が求められています。
総括
今回の調査からは、総務部門が直面している多くの課題が明らかになりました。「社内コミュニケーション」と「コンプライアンス」が特に重要であると認識されており、これらのテーマに対して積極的なアプローチが必要です。全体的に、総務の役割を見直し、価値を高めるための取り組みが急務です。日本の企業が国際的な競争力を保障するためにも、戦略総務として新たな価値創造に寄与することが求められています。