2025年、弁当店の倒産が過去最多ペースに　コメ高騰が追い打ち

弁当店の倒産は過去最多ペースに

株式会社帝国データバンクによると、2025年の初めの5ヶ月間で、仕出しやテイクアウトを主とする弁当店の倒産件数は22件に達しました。この数は前年同期の21件を上回り、今後の動向にはさらなる注目が集まります。特に、コメの価格高騰が経営に大きな影響を与えており、2024年度の業績悪化の割合は51.9%に達しました。これは、半数以上の弁当店が苦戦していることを示しています。

コメ高騰が追い打ち

安価な備蓄米が市場に放出されているものの、多くの弁当店は「新米を使いたい」という声があり、品質維持が採算性に関わる課題となっています。これにより、弁当店の経営はますます厳しさを増し、経営を諦める事例も増加しています。

弁当店では、会議や法要、冠婚葬祭に関する大口の注文や、高単価な弁当の需要が縮小しているのも問題です。また、テレワークの普及によって法人向けランチ弁当の需要も減少し、商圏の縮小が続いています。2021年からは原油価格の高騰や円安、さらにはウクライナ情勢の影響が出ており、鶏肉や油、小麦粉といった食材の価格も上昇しています。

経営環境の厳しさ

人手不足も深刻で、調理師の採用が難しくなっています。これらすべての要因が相まって、多くの弁当店は厳しい経営を強いられています。また、価格転嫁が進まない中で、スケールメリットを生かした大手と地元密着型の小規模店舗との収益力の差が広がっています。

2024年度の企業の損益状況をみると、約45%の弁当事業者が前年から利益が増加した一方で、赤字や減益を下回った企業の割合は過去2年と比べて上昇してしまいました。特に中小の弁当店では、コメ価格の高騰がそのまま採算性の悪化につながっており、業績の明暗がはっきりと分かれています。