東京科学大学発のPHILDUCTが新たな道を切り開く
東京医科歯科大学から生まれたスタートアップである株式会社フィルダクト(PHILDUCT)が、約3億円の資金調達を行い、オーラルヘルス市場に新たな革新をもたらそうとしています。リード投資家にはグローバルな視点を持つ株式会社Global Hands-On VC(GHOVC)を迎え、今回の資金調達により、これまでの累計資金調達額は約5億円に達しました。
フィルダクトの誕生と成長の軌跡
フィルダクトは2018年に設立されて以来、透明マウスピース型の歯科矯正『DPEARL』を主力商品にしてきました。この矯正手法は、従来の価格の約半分で提供できるため、多くの人々にとってアクセスしやすいサービスとなっています。また、2023年には東京医科歯科大学認定の歯科分野でのベンチャーとして認可を受け、2024年には東京科学大学の設立に伴い、東京科学大学認定ベンチャーとして活動しています。
現在の歯科矯正市場において、日本は未受診率が高く、特に50%以上が矯正治療を受けていない状態が続いています。この状況は、金銭的な壁や情報の不足、また手間を恐れてのものです。しかし、フィルダクトはデジタル技術の進化を活用し、CADや3Dプリンターを用いてそのハードルを下げることに成功しました。これにより、多くの人々に「気軽に利用できる高品質な歯科矯正」を提供する基盤を築いています。
オーラルヘルス市場の課題とフィルダクトのアプローチ
オーラルヘルスは全身の健康に大きな影響を与えると言われており、日本は超高齢社会において特に重要な課題とされています。WHOは口腔の健康が容易に全身状態に関わることを示していますが、歯周病や歯列の不正は早期介入が必要とされるにもかかわらず、多くの人々が適切な治療を受けられずにいます。
フィルダクトはこのニーズに応えるため、次の2つの革新的なソリューションを提供しています。
1. DPEARL(ディパール)
DPEARLは、3DプリンターやCADを活用した独自のワークフローを構築し、従来の歯科矯正価格を約半額にしています。このプログラムにより、全国で60以上のクリニックとの提携が進んでおり、患者は月に1回の通院とオンラインモニタリングで安心して治療を受けることができます。これにより、多くの人々がアクセスしやすく、かつ質の高い歯科矯正を受けられるようになっています。
2. MediLeap(メディリープ)
MediLeapは歯科医院向けのクラウド管理システムです。医療従事者が本来の業務に集中できるように、患者カルテや治療設計シミュレーション、オンライン診療モニタリング機能などをすべて無料で提供しています。CTとの連携が可能なシミュレーションや効率的な歯の移動を実現するアタッチメントなど、データドリブンな技工提案が可能です。
今後の展望とビジョン
フィルダクトのCEOである金子奏絵氏は、「グローバルでno.1のオーラルヘルスソリューションを日本から生み出す」というミッションを掲げ、今後の拡大に向けて意欲を示しています。新しいテクノロジーを用いた歯科矯正の導入により、より多くの人々にオーラルヘルスを普及させ、生活の質を向上させる取り組みを続けていく予定です。
終わりに
フィルダクトは、オーラルヘルスの重要性を再認識させるとともに、患者や医療従事者のニーズに応える形で業界に変革をもたらしています。今後も、歯科業界のデジタル化を推進し、健康で快適な生活を多くの人々に提供するための挑戦を続けていくでしょう。