羽田野香里の挑戦
南米コロンビアに住み、23年間にわたって日本語を教えている羽田野香里さん。その活動はただの日本語教育にとどまらず、現地文化との融合や、教育環境の整備にまで及びます。今回は彼女が実践している日本文化センターの設立やボランティア活動について深掘りします。
羽田野さんのキャリアの始まり
羽田野さんは北海道小樽市の出身。大学卒業後は児童養護施設での仕事に従事していましたが、幼い頃からの夢であった海外生活を実現するため、28歳の時にJICAの日系社会青年ボランティアとしてパラグアイに派遣されます。ここから彼女の海外でのキャリアが始まり、2004年にはコロンビアのマニサレスに移り、貧困地域の子供たちに教育を提供しました。
日本文化センターの設立
2020年、コロナウイルスの影響で働いていた大学が日本語コースを閉鎖し、羽田野さんは失業の危機に陥ります。この困難な状況の中、彼女を支えてくれたのは、友人や教え子たちでした。「今がその時」との思いで彼女は、彼らと共同で日本文化センター「春のひなた」を設立しました。
「春のひなた」では日本語の授業に加え、日本食や武道、マンガなどの日本文化を提供しています。最初は難しいとされたこのプロジェクトも、今では約200名の学生を擁するまでに成長しました。
教師としての喜びと課題
羽田野さんにとって、日本語教師としての醍醐味は学生たちの成長にあります。特に印象に残っている学生のエピソードがあり、彼女が教える日本語クラスで友人をつくり、スピーチコンテストに参加できるほどに成長した様子に感激したとのことです。しかし、その裏には多くの苦労も存在しています。日本語教師として、彼女は教え子たちに対して「プロの教師」として成長してほしいと願う一方で、その給料を支えるのに苦労しています。
夢見る力が未来を変える
羽田野さんの海外移住の夢は、想像する力からスタートしました。彼女は子供の頃、自分にはできないことが多く、読書を通じて自分の居場所を見つけたと語ります。また、教育者パウロ・フレイレの思想にも影響を受け、「今の状態がすべてではなく、可能性を自由に想像することが未来を変える鍵になる」と信じています。
講演会のご案内
羽田野さんの経験をもっと知りたい方は、6月4日に行われる「パラグアイ・フィリピン・コロンビアで日本語を教えて23年」というオンライン講演会にぜひご参加ください。彼女自身の言葉を通じて、日本語教師の魅力や海外移住のヒントを学ぶ機会です。
この講演会は、途上国との関係を深める活動を行っているNPOメディア「ganas」が主催しており、多くの社会人や学生にとって実り多い内容が提供される予定です。興味のある方はお早めにお申し込みください。
また、講演会の詳細や参加費用についてはganasの公式ウェブサイトから確認できます。