全国社会保険労務士会連合会(以下、全国社労士会)と公益財団法人産業雇用安定センター(以下、ジョブ産雇)は、2025年10月22日に失業を伴わない労働移動の実現に向けた新しい協力体制を築くための連携協定を締結しました。この協定は、今後の経済情勢に対応し、中小企業の支援を一層強化することを目的としています。
失業を伴わない労働移動の促進
両団体は、以前から協力関係にあり、2021年2月にはコロナ禍の影響を受けた事業主に対し、従業員の雇用維持を主眼とした在籍型出向に関する共同宣言を行っていました。しかし、最近ではコロナ援助が終了する中で、原材料価格の高騰、労務コストの上昇、そして深刻な人手不足といった新たな課題が浮上し、特に中小企業にとっては経営リスクが増大しています。これらの状況を受け、両団体は改めて連携協力を強化することとなりました。
新たな連携協定の内容
締結された協定は、以下の4つの重要なポイントに基づいて進められます。
1.
情報提供の強化: ジョブ産雇は全国社労士会に対し、出向や移籍に関する情報を提供し、全国社労士会は都道府県の社会保険労務士会を通じて,ジョブ産雇の事業についての理解を深める努力を行います。
2.
顧客企業への対応: 地方レベルでは、社会保険労務士が自らの顧客企業に対し、人材確保のニーズが発生した場合や解雇を考えている場合、一時的な雇用過剰の際にジョブ産雇の活用を提案します。ジョブ産雇は、支援依頼に迅速に対応することで、実効性のある支援を行います。
3.
助成金に関する相談支援: ジョブ産雇が事業所訪問の際に、助成金に関連する国の施策についての相談があった場合には、適宜社労士の活用を勧奨することで、企業の利益を最大限に引き出します。
4.
定期的な情報交換: 協力を円滑に進めるために、全国および地方レベルでの定期的な情報交換を行い、両団体の連携を強化します。
今後の展望
この連携協定の締結により、全国社労士会とジョブ産雇は、地域の中小企業の経営支援に向けた取り組みを加速させることとなります。企業が直面するさまざまな課題に対し、効果的に応えることで、労働市場の安定を図ることが期待されています。両団体の協力により、より多くの企業が持続可能な経営を目指し、地域の雇用の場の確保が実現されることを願っています。