水のアルカリ度が味と香りに与える影響
株式会社LIXILが行った最新の研究によると、水道水のアルカリ度が、緑茶や紅茶、ハーブティー、コーヒーの味や香りに重要な役割を果たしていることが確認されました。この研究は、京都大学大学院の及川彰教授との共同で進行し、2024年10月に開催される第18回メタボロームシンポジウムで発表予定です。
研究の背景
水道水には、様々な成分が含まれており、特にお茶やコーヒーの風味に影響を与えることが知られています。硬水と軟水の違いは一般的にも認知されていますが、アルカリ度が風味に与える具体的な影響については、これまで詳しく解明されていませんでした。LIXILは、この点に着目し、アルカリ度の高低が飲料に与える効果を調査しました。
研究概要
調査では、異なるアルカリ度、硬度、pH、残留塩素を持つ水を使用し、それぞれに緑茶を淹れて、香り成分と味成分の分析を行いました。その結果、アルカリ度が高い水で淹れた緑茶は、香気成分であるモノテルペンや青葉アルコールが増加し、特有の香りが強くなることが明らかとなりました。その上、味わいにおいても、アルカリ度が高くなることで渋味成分が減少し、うま味成分が増加することが確認されました。
その他の成分として、硬度が高い水では有機酸が減り、残留塩素はカテキン類の減少をもたらすことも分かりました。これにより、各水質が緑茶の香りや味に対して異なる影響を持つことが示され、特にアルカリ度が重要であることが示唆されました。
さらなる調査
この研究を受けて、LIXILではアルカリ度が紅茶やハーブティー、コーヒーにも同様の影響を及ぼすかを調査しましたが、アルカリ度を高めることでいずれの飲料においても香りが強くなることが統計的に確認されました。
研究の意義
この発見は、実用的な観点からも重要です。水のアルカリ度によるお茶やコーヒーの風味が変わる可能性があるため、今後の飲料製造において水質の調整が新たな風味制御の手段となることが期待されます。
今後の展望
LIXILは、この新たな知見を元に、さらなる水の価値を引き上げる技術の開発を進め、快適で豊かな住生活の実現に貢献することを目指しています。今後の研究成果が水質改善や飲料の風味向上に寄与することに期待が寄せられています。
企業情報
LIXILは、トイレやキッチンなどの水まわり製品や建材製品を手がけ、快適な住環境を提供することに注力しています。約53,000人の社員が世界150カ国以上で事業を展開し、技術を通じて「豊かで快適な住まい」を実現するために努力しています。2024年3月期には、連結売上高が1兆4,832億円に達しました。