市民の声を「見える化」する新プロジェクト「Voice Field」とは

合同会社SLOC WORKS総合研究所（以下、SLOC WORKS）は、市民や来訪者の日常の声を集める画期的なプロジェクト「Voice Field（ボイスフィールド）」を始動しました。このプロジェクトは、群衆の中に埋もれてしまうような心の声や感情を捉え、それを可視化していくことを目的としています。リサーチの枠を超えた、感情や気づきを招く仕組みとは、一体どんなものなのでしょうか。

「聞かれた声」ではなく「こぼれた声」へ

従来、行政やマーケティング調査においては、「質問に回答する」という形式が主流です。しかし、この形式では自然に発生する感情や違和感を捉えることが難しいという問題があります。Voice Fieldは、こうした未発掘の“こぼれ落ちた声”に著しい価値が宿ると考え、実証実験を通じてこの仮説を検証していきます。

Voice Fieldの仕組みとは

Voice Fieldは、都市空間に設置されたNFCタグやQRコードを活用し、スマートフォンで読み取ることで、特定の場所や時間で感じたことを短文と共に投稿できるシステムです。この仕組みにより、投稿された声は自動的にデータベースに蓄積され、AIによる分析を通じて利用実態や心理的変化が明らかにされます。

投稿内容の活用

Voice Fieldでは、集められた定性データを様々な分野で活用することが想定されています。例えば、行政・自治体は政策の立案や公共空間の改善に役立て、民間事業者は顧客理解やサービスの改善に利用できます。また、教育機関や研究分野においても地域の理解を深めるための貴重なデータとしての活用が期待されています。

Voice Fieldの3つの特長

1. 場に基づいたデータ取得: 聴取された声は、採取した時間と場所に紐づいているため、特定の空間における特徴や変化を把握することが可能です。

2. 簡易実装: 特別な専門知識を必要とせず、軽量な仕組みで既存技術を組み合わせた設計のため、導入が容易です。

3. 研究と社会実装を往復する循環: 得られた知見は、事業や政策、教育といったフィールドへと還元され、持続可能な発展が期待されます。