近年、インフレや円安の影響を受け、中小企業経営者の間で物価高騰が大きな課題となっています。フォーバル GDXリサーチ研究所は、中小企業経営に関する実態調査を実施し、851人の経営者から得たデータをもとにその実態を明らかにしました。本記事では、この調査結果から浮かび上がる中小企業の現状と対策、そして経営者の意識について深掘りしていきます。
調査結果サマリー
調査によると、中小企業の約7割が物価高の影響をマイナスと回答し、その結果として資金需要の増加を訴えている企業も多いことが分かりました。円安の影響も相まって、経営環境は厳しさを増しています。また、物価高対策を実施している企業は全体の約3割で、その多くが「価格転嫁」という手段を用いています。この「価格転嫁」を成功させている企業は約4割でありながら、十分な対策が進んでいない企業も多数存在します。
物価高の影響と企業の意識
調査では、物価高による影響を尋ねたところ、76.6%の企業がマイナスの影響を受けていると回答しました。具体的には、「マイナスの影響を受けている」と「ややマイナスの影響を受けている」を合わせると約50%が影響を感じていることになります。特に、円安の影響を受けているという企業も49.9%に上ります。このような状況の中で、物価高による資金需要が約5社に1社の中小企業で増加している点も無視できません。
対策とその効果
物価高に対する具体的な対策としては、86.3%が「価格転嫁」を実施していることが明らかになりました。また、その中で約6割が何らかの効果を感じていると答えています。しかし同時に、物価高対策を実施していない企業が33.8%という結果も見逃せません。これらの企業は、今後の価格転嫁を含めた具体的な行動が求められます。
価格交渉の現状と課題
加えて、調査では「価格交渉促進月間」についての認知度が低いことも明らかになりました。2.2%の企業だけが理解しており、約65.7%が知らないと回答しています。これは、価格交渉における積極性が欠如していることを示唆しており、この点が今後の改善策として挙げられます。
まとめ
中小企業が物価高騰にどう向き合い、どのような対策を講じているかを探る本調査は、今後の経営戦略を考える上で重要な情報源となります。この調査結果を参考に、さらなる研究や施策が期待されるところです。また、中小企業の中には効果を感じつつも、まだ十分な対策が取れていない企業が多く存在します。これからの経営者には、より賢明な判断を行うための支援が求められています。
フォーバル GDXリサーチ研究所は、引き続き中小企業の経営環境を調査し、その実態を世に伝える役割を果たしていきます。