1月17日、哲学者の國分功一郎による新刊、「手段からの解放シリーズ哲学講話」が発売されました。この本では、今の時代に必要とされる「楽しむ」というテーマに焦点を当てています。
著書は、これまでの著作『暇と退屈の倫理学』や『目的への抵抗』と連動しており、人間の行為がどのように「目的」と「手段」によって規定され、そこから生じる様々な病理について探求しています。特に、カントの哲学の視点を借りて「嗜好」や「享受」といった概念がどのように理解されるべきか、深く検討されているのが本書の特徴です。
現代社会では、多くの人が「何かのため」に生きることに追われ、その結果「楽しむ」ことが犠牲にされていると指摘されます。依存症もその一例であり、目標達成の手段としての行為に心を奪われることが、本来の「楽しむ」という感覚を失わせているのです。
國分氏はこの問題を鋭く掘り下げ、現代人が本当に求めているものは「享受の快」や「嗜好」であるべきだと主張します。ただ「役立つ」ことだけに縛られるのではなく、それを超えたところにある純粋な楽しさの回復が必要だというメッセージが込められています。
さらに、本書の発表を記念して、1月30日には代官山蔦屋書店で行われるトークイベントも注目されています。このイベントでは、批評家の宇野常寛氏との対談を通じて、「快楽とは何か」という現代的な視点を掘り下げる予定です。
國分功一郎氏は1974年千葉県生まれで、哲学を専攻する東京大学の教授です。著作には『暇と退屈の倫理学』や『中動態の世界』などがあります。
この新刊とトークイベントを通じて、多くの人が「楽しむ」ことの本当の意味を再認識し、より豊かな人生を送るためのヒントを得られることでしょう。深淵なる哲学的探求をぜひ手に取ってみてください。
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