日本に潜む児童労働の現実
近年、世界各地で問題視されている児童労働ですが、日本でもその影響が顕在化しています。2025年9月、静岡県焼津市の工事現場で発生した17歳の少年の転落死は、ただの労災事故ではありません。実際には、国際的な「児童労働」の基準に基づけば、高所での危険作業に従事させられていた子どもたちの実態を反映しています。
また、2025年11月に東京都で逮捕された12歳のタイ国籍の少女が関与したマッサージ店では、最低年齢に達しない16歳未満の子どもを雇用することが明らかになりました。残念ながら、これは日本国内での児童労働の現状が決して過去のものではないことを物語っています。
社会課題としての児童労働
日本における児童労働の実態はまだ十分に認識されていないのが現状で、法制度や調査体制も十分ではありません。ILOが建設した第138号条約や第182号条約が日本によって批准されているものの、国内での労働に関する実態把握が進んでいないことは大きな問題です。実態を把握するための法律や統計データも乏しく、事件が起きた時だけが焦点となってしまう傾向があります。
ACE(認定NPO法人エース)は、世界中での児童労働撤廃に取り組む中で、この見えにくい問題が社会に根付いている現実を悲しく思っています。立法的な定義構築や国全体での調査が求められる中、私たちには早急な対応が必要です。
提言される対策
現在、私たちが直面する児童労働問題に対していくつかの具体的な提案がなされています。この中で重要なポイントを挙げてみましょう。
1.
法的な定義付けとデータ整備
日本の場合、児童労働に対する明確な定義が存在しないことが大きな障壁となっています。これに関する法律を制定し、実態を把握するためのデータ整備が急務です。
2.
省庁横断的な連絡会議の設立
児童労働は様々な側面からのアプローチが必要な社会問題です。各種省庁が連携して、包括的な対策を講じるための連絡会議の設置が求められています。
3.
国家行動計画の策定
ILOの条約に基づいた行動計画を策定し、具体的な施策に基づいて実施していくことが肝要です。
4.
社会全体での啓発と教育
児童労働を防ぐためには、社会全体での意識改革が不可欠です。教育機関や企業もこの問題への理解を深めなければなりません。
5.
根本原因へのアプローチと支援強化
貧困や教育環境、家庭背景などが根本原因となっています。これらに対する包括的な政策が必要です。
結論
児童労働は日本国内のだけでなく、国際社会全体で解決すべき課題です。ACEは、子どもたちを守るために具体的な提案を行い、対策を進めていきます。政府、企業、そして市民一人ひとりが連携し、子どもの命や権利が守られる社会を実現するために行動することが求められています。私たちも行動する準備を整え、未来を変える一歩を踏み出しましょう。
ACEでは、児童労働に関する報告書や啓発資料を作成しています。これらの資料を活用し、日本国内での児童労働を防ぐための協力を呼びかけます。