王虹凱の音楽探訪
2019-03-08 13:00:29

台湾音楽を巡る歴史と文化を体感する王虹凱のレクチャーパフォーマンス

台湾音楽を巡る歴史と文化を体感する王虹凱のレクチャーパフォーマンス



2023年3月2日と3日に台北駐日経済文化代表処の台湾文化センターにおいて、アーティスト王虹凱(ワン・ホンカイ)によるレクチャー・パフォーマンス「This is no country music」が行われました。このパフォーマンスは、台湾の音楽家・江文也をテーマにし、彼の音楽を通して、国家という枠組みに縛られた様々な文化の狭間を表現しました。

江文也は、1910年に日本統治下の台湾で生まれ、日本でキャリアを築きました。彼は1936年のベルリン・オリンピックの芸術競技に交響曲「台湾舞曲」を出品し、見事入賞を果たしました。しかし、その後は中国で教育の道に進んだものの、冷戦や文化大革命の影響で故郷に戻ることなく、そこで生涯を閉じました。江文也の音楽には、国籍や文化を超えた普遍的な魅力が宿っています。

王虹凱氏は、江文也の音楽を取り上げる中で、彼が抱えた複雑なアイデンティティと歴史を浮き彫りにすることを目指しました。「This is no country music」というテーマのもと、王氏は音声表現を通じて、社会の関係性や文化の交錯を探求します。今年1月、台湾文化センターで開催された創作ワークショップでは、参加者と共に江文也の音楽作品を基にした「ミックステープ」を制作し、レクチャー・パフォーマンスの核となる素材を生み出しました。

パフォーマンス当日は、観客たちは「聴く」、「読む」、「歌う」という行為を通して、江文也が生きた時代背景や彼の音楽的探求の旅を体感しました。観客からは、「作品を通じて江文也の音楽に対する情熱や残した影響を強く感じることができた」という感想が寄せられ、作品が持つ深いメッセージが多くの心に響いたことが伺えます。

「シアター・コモンズ」は、2017年から台湾文化センター、ゲーテ・インスティトゥート東京、アンスティチュ・フランセ日本、オランダ王国大使館が共同で主催している交換プロジェクトであり、新たな演劇形式の創出を目的としています。観客は異なる時代や空間の交錯を体験し、多様なコミュニティと文化が一つの空間で交わる様子を楽しむことができるのです。今年からは東京都の「Tokyo Tokyo FESTIVAL」の一環としても位置付けられ、さらなる注目を集めています。

王虹凱氏のパフォーマンスは、台湾や日本、中国の交わりを象徴し、音楽的表現によって人々を結ぶ大きな力を持つことを実感させてくれました。このイベントを通じて、歴史や文化を共有する大切さを改めて考えさせられる時間となりました。

会社情報

会社名
台北駐日経済文化代表処台湾文化センター
住所
東京都港区虎ノ門1-1-12虎ノ門ビル2階
電話番号

トピックス(エンタメ)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。