東レが実現したCFRPの高速接合技術の革新性
背景
航空機産業において、炭素繊維複合材料(CFRP)が特に注目されています。CFRPはその優れた特性により、航空機の構造部材として広く使用されており、特に熱硬化性CFRPは長年にわたり実績を持っています。しかし、今日の航空機設計は複雑化してきており、小型部品や形状の自由度が求められています。これに伴い、熱可塑性CFRPが新たな選択肢として注目を集めています。これらの材料を組み合わせて使用することで、航空機の性能と生産性の両方を高めることが期待されています。
課題
一方で、熱硬化性CFRPと熱可塑性CFRPの接合にはさまざまな課題が残されています。従来から使用されていた接着剤接合やボルトファスナー接合では、接着の信頼性や加工工程の煩雑さが問題となっていました。特に航空機の安全性が問われる中で、信頼性の高い高速接合技術が求められています。
東レの新技術
このような課題に対処するため、東レ株式会社は新たな高速接合技術を開発しました。この技術は、熱硬化性CFRPと熱可塑性CFRPを用いた新規の熱溶着接合技術です。従来の接着剤接合と比較して、圧倒的な接合強度を実現し、接合時間を従来の1/3以下に短縮しました。これにより、ボルトファスナーを減少させることで、全体の機体重量を軽減することが可能となります。
社会実装への取り組み
今後、東レは航空機関連メーカーと連携し、この新技術の社会実装を加速させていく考えです。実際に、航空機模擬構造体にこの接合技術を適用した実績もあり、持続可能な航空機開発の一翼を担うことが期待されています。この取り組みは、NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の支援を受けた「次世代複合材創製・成形技術開発プロジェクト」の成果でもあります。
環境への貢献
さらに、東レは「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」の中で、環境問題や資源・エネルギー問題への貢献を強調しています。「新しい価値の創造を通じて社会に貢献する」という企業理念のもと、常に先端材料や革新技術を生み出し続ける姿勢を貫いています。これにより、カーボンニュートラル社会の実現へ向けても積極的に取り組んでいます。
展示会情報
この技術の詳細については、2026年1月28日から30日まで東京ビッグサイトで行われる「nano tech 2026」にて展示される予定です。これに参加することで、さらに多くの業界関係者にこの技術を知ってもらい、その普及を目指します。
結論
東レの新たなCFRP接合技術は、航空機産業における生産性の向上と環境保護の両立を実現する可能性を秘めています。今後の動向に注目が集まります。