海面上昇と国際法
2025-05-20 11:10:31

海面上昇と国際法の未来を探るオンラインセミナー開催レポート

オンラインセミナー「沈む国土と浮かぶ未来」開催レポート



2025年3月28日、公益財団法人日本グローバル・インフラストラクチャー研究財団(以下、日本GIF)が主催するオンラインセミナー「沈む国土と浮かぶ未来—海面上昇と国際法の最前線」が開催されました。本セミナーは、気候変動による海面上昇がもたらす影響を国際法の観点から掘り下げるもので、講師には中部大学国際関係学部の加々美康彦教授が招かれました。

海面上昇の危機と国際法の関係


セミナーでは、気候変動の進行が国民の安全と国土にどのような影響を及ぼしているのかを考える重要性が指摘されました。世界の中には国土が海面上昇によって消失するリスクにさらされている国々が存在します。教授は、「もし国土がすべて海の下に沈んだ場合、その国はどうなるのか」という視点から、国際法上の「国家」の存続や権益の維持について解説しました。

現在、海面上昇の適応策として人工島が注目されているものの、その法的位置づけについては未整備です。特に、国際法では人工島が「領土」として認められておらず、法的権利も明確でないという現状があるといいます。

セミナーの内容


加々美教授は、国連海洋法条約(UNCLOS)の基礎概念についても触れました。この条約は、1970年代に策定され、1982年に採択されたもので、現在170カ国が加盟しています。UNCLOSは「海の憲法」とも呼ばれ、様々な管轄海域の定義を規定していますが、海面上昇という新たな状況には対応していないとのことです。

具体的には、教授は自然島と人工島の定義、基線の設定について説明しつつ、南シナ海仲裁判決における過去の事例が如何に国際法の適用に遭遇しているか詳細に解説しました。特に、2016年の仲裁では、スプラトリー諸島の一部を「岩」と分類したことが、人工島に関する権利の議論へと影響を与えています。

海面上昇に対する新たなアプローチ


また、海面上昇への適応策についても深掘りされました。海面上昇の進行に伴い、既存の領海基線の固定化や人工島の建設が新たな選択肢として浮上しています。教授は、モルディブやUAEなどでの建設事例を紹介しながら、人工島が持つ技術的な利点とともに、環境への影響に関する懸念も指摘しました。

特に、居住目的を持つ人工島については、その技術が社会全体に貢献する形で発展する必要があると強調されました。一部の特権層だけが恩恵を受けるのではなく、広く人々に利益をもたらす形での発展が求められるという意見には多くの参加者が共感を示しました。

質疑応答の様子


セミナーの最後には質疑応答が行われ、多岐にわたる質問が寄せられました。一部の質問では、人工島化の際の法的課題や、フローティングシティにおける行政管理のあり方について議論が展開されました。これは参加者にとっても非常に刺激的な時間であったと感じます。

結論


このオンラインセミナーを通じて、海面上昇がもたらす課題と国際法との関係についての理解が深まりました。また、全国から参加した専門家や関心のある一般の方々に、さまざまな意見が共有され、非常に貴重なディスカッションの場となりました。今後も海面上昇に関する国際法の発展が期待されます。


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