Vicorが発表した車載グレード電源モジュールの革新技術とは
米国マサチューセッツ州、アンドーバーに本社を置くVicor Corporationが、2025年に量産予定の電動車向けに新たに3つの車載グレード電源モジュールを発表しました。この新製品は、高い電力密度を実現し、車載電力システムの複雑な電力変換の課題を解決することを目指しています。
新たな電源モジュールの特徴
「Vicorは、スケーラブルでフレキシブルな小型の電源モジュールにより、自動車業界の電力密度の基準を刷新しました」と、Vicor オートモーティブ事業部門のVP、Patrick Wadden氏は語ります。新しいモジュールには、BCM6135、DCM3735、PRM3735があり、AEC-Q100認証されたVicor自社設計のICを使用しています。これにより、複数の自動車顧客とのPPAPプロセスも完了しています。
BCM6135
BCM6135は、変換効率98%を誇る中間バスコンバータであり、800Vのトラクションバッテリーを48Vに変換する能力を持ちます。この高電圧から低電圧への変換により、DC-DCコンバータのスペースを大幅に削減します。電力密度が158kW/Lに達し、これによりEV電源システムの初期段階のサイズを縮小し、全体的な車両重量を軽減します。また、このモジュールは双方向電圧変換も可能で、負荷電流の過渡応答速度が8メガアンペア/秒という速さを誇ります。
DCM3735
出力電力2.0kWのDCM3735は、安定化されていない48Vを入力として12V出力を提供するDC-DCコンバータです。入力電圧範囲が広く、さまざまな自動車アプリケーションに対応しています。304kW/Lという電力密度は、特にゾーンECUアプリケーションにおいて非常に有用です。
PRM3735
最後に、PRM3735は、変換効率が99.2%で出力2.5kWの48V電源用レギュレータです。高電力密度260kW/Lにより、DC-DCコンバータ全体の小型化が可能になります。これにより、新しい車両のアーキテクチャに適した安定した電源供給が実現します。
様々なアプリケーション
これらのモジュールを組み合わせることで、300以上の構成が可能になり、多様な車両サブシステムへの対応が可能になります。特に注目すべきは、48Vから12Vへの変換が非常に高効率で行える点です。
Vicorの電源モジュールは以下のような革新技術を可能にします:
- - アクティブサスペンションシステム:従来の12V電源では供給が難しいアクティブサスペンションに対し、48V電源バスへの移行を実現し、さらなる高性能を引き出します。
- - 負荷の電流サージ防止:プリチャージプロセスを簡素化し、部品点数を減らすことで全体的な車両の重量を軽減します。
結論
Vicorの新たな電源モジュールは、自動車の電力供給ネットワークを革新する可能性を秘めています。これにより、業界全体の電源システムのサイズや重量を減少させつつ、効率を向上させることができます。市場が48Vゾーンアーキテクチャへ移行する中、この技術は必然となるでしょう。詳細は公式ウェブサイトでも発表されているのでぜひご覧ください。
公式プレスリリースはこちらを参照してください。