発達障がいの子どもたちを支える美容師の挑戦
今、髪を切ることが苦手な子どもたちのための特別なヘアカットが注目を集めています。京都市伏見区にある美容室「ピース・オブ・ヘアー」の美容師、赤松隆滋さんが発案した「スマイルカット」です。この取り組みは、発達障がいのある子どもたちを中心に、ヘアカットという日常的な行為を楽しい体験に変えることを目指しています。
スマイルカット誕生の背景
発達障がいのある子どもたちの中には、髪を切るためにじっとしていることができなかったり、感覚過敏があるために美容室の環境が苦手な子も多くいます。赤松さんは、このような子どもたちの姿を見て心を痛め、何とか手助けをしたいと考えました。しかし、初めはその子たちが何を怖がまっているかも分からず、多くの子どもたちを泣かせてしまったこともあったそうです。
赤松さんは、どうにかして子どもたちが安心してヘアカットを受けられる方法を探求しました。その中で、「見通しを立てる」という考え方がヒントとなります。子どもたちが次に何が起こるのかを理解できるようにすることで、安心感を持たせることができるのです。
工夫と実践
赤松さんは、具体的な取り組みとして、ヘアカットの時間を可視化するためのタイマーや、ヘアカットの過程をイラストで示す「絵カード」を利用するようになりました。このような工夫は、子どもたちが自分が何をするのかを理解する助けとなり、ストレスを軽減します。赤松さんの「スマイルカット」は、発達障がいのある子どもたちが泣かずに、また安心して髪を切ることができる方法として着実に広がっています。
さらに、彼は「美容師法」の問題から、スマイルカットを受けられない子がいるという話を聞くと、真摯に改善に向けたアクションを起こします。行政へ協力を求めたり、さらには戦隊ヒーローや絵本を制作して、真剣にこの活動を広める試みをしています。赤松さんの情熱は、お子さまたちだけでなく、親御さんにも希望を与えています。
体験談
「ヘアカットが大の苦手な息子が、スマイルカットのおかげで泣かずに髪の毛を切れるようになった」と語るのは、YouTuberのえぬくんママさんです。赤松さんは、ただの美容師ではなく、育児に関するヒントをも与えてくれる存在として、親たちからも愛されています。彼女は、「赤松さんのようなやさしさが、世界中に広がりますように」と願っています。
新刊『スマイルカットでみんな笑顔に!』
この素晴らしい取り組みをもっと広めるために、佼成出版社から新刊『スマイルカットでみんな笑顔に!発達障がいの子どもによりそう美容師さん』が2025年2月27日に発売されます。著者は別司芳子さん、絵は多田文ヒコさんが担当。子ども向けの内容ながら、多くの大人に感動を与える内容になっているとのことです。読者は、赤松さんの思い、およびスマイルカットの活動を通じて、何ができるのかを考える価値ある機会を得ることでしょう。
この本を手に取ることで、多くの子どもたちの笑顔が見られるようになることを期待したいと思います。