年末商戦前に見えた経済の明と暗
2024年の年末商戦を迎えるにあたり発表された第202回景気動向調査の結果、全体的には売上DIが前回比で上昇したものの、先行きには暗雲が広がっています。この調査は、当金庫の取引先である1,629社からのデータを基に実施され、584社が回答しました。
売上DIの好転と異なる先行き
調査結果によると、2024年10~11月期の売上DIは2.5を記録し、前回比で8.6ポイントと大幅に改善しました。業界別で見ても、特に飲食業が31.1と58.4ポイントという伸びを見せ、年末商戦に伴う需要増が影響していると考えられます。小売業も7.6ポイントの上昇を記録し、全業種の多くが好調でした。ただし、2025年1-3月期の見通しでは、売上DIが9.4ポイントの減少が予測されており、年末商戦の反動や物価高、円安の影響が懸念されます。消費者の節約志向も今後の売上に影響を与えそうです。
設備投資意欲の陰り
設備投資に関する指標も気掛かりです。「予定あり」とする企業は10.6%にとどまり、前回比で1.3ポイント減少しました。特に製造業、卸売業、小売業、建設業でそれぞれ減少が見られ、全体での設備投資意欲が低下していることを示しています。これにより、企業成長に必要な投資が後回しにされる可能性があります。
止まらない仕入単価上昇
さらに、経営上の問題点として「仕入単価上昇」が73.2%を占め、特に飲食業では86.7%、製造業で82.2%といった高い数字が示されています。この傾向は、企業の収益環境に厳しい影響を及ぼし、多くの企業が販売価格に仕入れコストを転嫁することに苦労しています。人件費の上昇も加わり、経営の厳しさが一段と増しています。
冬季賞与の支給状況
このような経済情勢の影響を受け、冬季賞与の支給状況も前年より減少し、「支給する」という企業は71.4%と前回比で1.1ポイント下落しました。しかし、製造業や建設業では人手不足を理由に賞与支給に踏み切る企業も多く見られ、業界ごとに対応が分かれています。
まとめ
年末商戦の繁忙期を前に、景気の明るい面と陰りが共存する今の状況。企業は厳しい環境下での競争に直面し、中長期的な戦略が求められています。物価高や為替の影響を受けた消費者行動の変化が、今後の売上や資金運用に大きく影響を及ぼすでしょう。這う状況で企業はどのように舵を切るのか、今後の動向に注目です。