静かな退職が拡大する現代の働き方と副業の実態調査

静かな退職と副業の実態調査

パーソルイノベーション株式会社が提供する副業人材マッチングサービス『lotsful』は、「静かな退職」と副業に関する実態調査を実施しました。この調査は全国の20～49歳の会社員661人を対象とし、静かな退職の定義を「昇進やキャリアアップを目指さずに必要最低限の仕事をこなすはたらき方」としました。調査の結果、静かな退職に対して高い共感を示す若手層が増えていることが明らかになりました。

調査結果の要約

調査によると、若手社員の中で静かな退職に共感を抱く割合は非常に高く、新卒入社から3～5年未満の勤続層では89.5%が「共感する」と回答しました。これは一方的な成果主義や昇進が前提のキャリア観に違和感を示す若手の増加を反映しています。彼らは、仕事のやりがいや成果だけでなく、自分らしいライフスタイルを重視する傾向が強まっています。

ワークライフバランスの重視

静かな退職に共感する理由として、最も多かったのは「ワークライフバランスを重視したい」という意見で、これを支持する回答者は45.3%でした。また、「昇進・昇格に関心がない」という声は33.6%に上りました。これにより、管理職を目指す意欲を持つ人は全体の37.4%であり、これは過半数が昇進を意識していないということを示しています。これは、キャリアパスと管理職の在り方を見直す必要性を浮き彫りにしています。

若年層と女性の広がり

静かな退職を実践している人は全体の37.7%にのぼり、特に20代女性でその割合が最も高く、次いで30代女性、20代男性と続いています。新卒入社から3～5年未満の層においては75.4%が静かな退職を実践しており、実行されている傾向が出ています。これにより、企業側も若年層や女性の働き方を考慮する必要があります。

本業の役割

調査では静かな退職に共感した人に今の本業に求める役割についても尋ねたところ、「安定した収入源」が46.6%を占め、「ワークライフバランスの取りやすさ」が40.6%でした。さらに、静かな退職を実践している人は本業を「副業・社外活動の基盤」と捉える傾向が強いことが分かります。このように、働き方改革の中で本業と副業のバランスを考えることが徐々に定着してきています。

ポジティブな効果

さらに、静かな退職を実践している人々の多くは「心身の健康が改善された」というポジティブな変化を実感しています。例えば、32.3%の人々が具体的な改善を感じており、また64.3%は副業などの社外活動に充てる時間が作れたと回答しています。これは彼らが社会に貢献しながらも自身のライフスタイルを守ることに成功していることを示しています。

企業への提言

静かな退職の流れはキャリア観の変化を示唆するものです。企業は、これまでのキャリアモデルに固執するのではなく、多様な働き方を尊重し、社員が自分らしいキャリアを築ける環境作りを進めるべきです。『lotsful』は今後も多様な人材の活躍を支援し、副業機会の提供や企業への制度設計支援を強化していく方針です。

*今回は調査結果を通じて、静かな退職という新たな働き方がいかに進化し、浸透しているかを探る機会となりました。企業もこの流れを受け、柔軟な制度を見直し、働く人々の多様なニーズに応えていくことが求められています。