ミドルシニア世代のセカンドキャリアに関する意識調査報告
公益財団法人産業雇用安定センターは、2025年7月に実施した「ミドルシニア世代のセカンドキャリアに関する意識調査」の結果をまとめました。この調査では、主に大企業に勤務する45歳から59歳の社員900人を対象に、今後の働き方についての意識を探りました。
調査の概要
調査はウェブアンケート形式で行われ、60歳で定年を迎えた後も65歳までの継続雇用制度がある企業で働く社員が対象です。調査結果から見えてきたのは、ミドルシニア世代が今後の働き方に対して多様な選択肢を考えていることです。
主な調査結果
1.
今後の働き方への意識
調査結果の中で、今後の働き方に関するイメージを尋ねたところ、「まだ決めていない」と回答した人が31%で最も多い結果となりました。このことから、多くの人が今後についての明確なビジョンを持っていないことがわかります。
2. 転職を希望する理由
定年前や定年時に転職を希望する理由としては、「新しい仕事に挑戦したい」という声が34%と最も多く、続いて「スキルを他社で生かしたい」が26%を占めました。定年を機に転職を考える人の背景には、待遇の不安や希望しない仕事を強いられる恐れがあることも示されています。
3.
雇用延長を希望する理由
定年後に同じ会社で働き続けたいと考えている人は、スキルを活かせる点や、働きやすい環境が評価されています。一方で、転職先に対する不安から、現状維持を希望する声も少なくありません。
4. 中小企業への転職意向
「今の会社を辞めたい」と考える人の中でも、中小企業やNPOへの挑戦について前向きな意見があり、自身の経験やスキルを必要とする職場があれば転職を考える意向を示す声もありました。
5.
必要な支援についての期待
* 転職を希望する際のサポートとして、リスキリングやキャリア支援が挙げられましたが、明確な転職先の紹介を求める声も多く、自分のキャリアをどのように活かしていくかを重視しているようです。
今後の展望
今回の調査結果をもとに、ミドルシニア世代は変わりゆく働き方に意識を向け、柔軟なキャリア形成を希望しています。企業はこれらのニーズに応じた支援を行い、労働市場の流動性を高めることが求められます。失業のない労働移動を実現するためには、出向や再就職あっせんの取り組みを一層強化することが大切でしょう。このような背景を踏まえ、今後の社会でどのように働き続けるかが、ミドルシニア世代の大きなテーマとなっていることを感じさせます。 さらに、企業と連携し、これからのキャリア形成に向けた支援を強化していく必要があります。
結論
ミドルシニア世代のセカンドキャリアに対する意識調査は、今後の働き方の選択肢を多様にしていく上で重要な指針となります。企業は、彼らが持つスキルや経験を最大限に活かせる場を提供し、在職中から転職活動を含めた支援策を構築していくことが不可欠です。これにより、シニア層の経験が新しい市場で魅力的に活用され、より良い労働環境の構築につながることが期待されます。