STマイクロエレクトロニクスが新しいウェブツールを発表
2023年10月、STマイクロエレクトロニクスは、AIoT(Artificial Intelligence of Things)デバイスの開発を効率化するための新しいウェブベースのツール「ST AIoT Craft」を紹介しました。このツールは、エッジノードからクラウドへつなぐ役割を果たし、ユーザーがAIoT機器をスムーズに開発できる環境を整えています。
スマートMEMSセンサを活用した機械学習
STのスマートMEMSセンサに搭載された機械学習コア(MLC)が本ツールの核となり、これによりセンサ内で直接ディシジョン・ツリーの学習モデルを実行可能です。MLCはホストシステムに依存せず自律的に処理を行え、低消費電力と低遅延を実現。これにより、分類やパターンの検出といったAI処理を高効率で実施できるようになっています。
開発プロセスを一元化
ST AIoT Craftは、センサ内AIを利用したIoTデバイスの開発に必要なすべてのステップを統合しています。ウェブベースでアクセスできるため、デスクトップにソフトウェアをインストールする手間なく、異なる専門分野のチームメンバーが協力しやすい環境を提供。AIの専門家や組込みソフトウェアエンジニアがスムーズに共同作業できるようになります。
AutoML機能で簡単なモデル生成
このツールにはAutoML機能が搭載されており、センサからのデータセットを基に最適な属性やフィルタを自動的に選定します。さらに、ディシジョン・ツリーを学習させ、実行のためのコンフィギュレーションファイルを生成することで、初心者でも容易にSTのスマートセンサを導入できる環境を整えています。AIアプリケーションの開発が手軽になるのは大いに歓迎されるポイントです。
IoT機器のプロビジョニング
また、Data Sufficiency Module(DSM)ツールを利用することで、IoT機器のプロビジョニングも簡素化されています。このDSMツールは、クラウドに送信するデータポイントを賢くフィルタリングすることができ、通信最適化および消費電力の低減を実現。さらには、この機能を利用して今後の再学習も簡易化されるため、IoT機器の運用がさらにスムーズになります。
豊富なサンプルとカスタマイズ
さらに、ディシジョン・ツリーを使用してセンサ・ツー・クラウドIoTソリューションを構築するためのサンプルも用意されており、例えばファンコイルのモニタリングや資産管理など、多彩な応用が可能です。これらのサンプルは、SensorTile.box ProやSTWIN、STWIN.boxなどのSTのリファレンスボードを使い、容易に実行・評価できます。カスタマイズができるため、独自のデータを基にした開発も行いやすく、開発期間を大幅に短縮することができます。
ST Edge AI Suiteリポジトリへのアクセス
ST AIoT Craftは、ST Edge AI Suiteのリポジトリから無償でダウンロード可能で、機械学習アルゴリズムの開発に必要な各種ソフトウェアツールやサンプル、モデルが揃っています。これにより、ユーザーはSTのエッジAI製品(STM32マイクロコントローラやインテリジェントセンサ処理ユニットなど)上での実装がスムーズに行えるようになります。
STマイクロエレクトロニクスについて
STマイクロエレクトロニクスは、50,000名以上の従業員を抱え、スタートアップから大手企業まで、世界中の約20万社の顧客とパートナー企業と連携しています。同社は、スマート・モビリティや電力エネルギー管理、クラウド接続型自律デバイスの進展を支える半導体ソリューションの開発に取り組んでおり、2027年にはカーボンニュートラルを目指しています。詳細については、STの公式ウェブサイトをご覧ください。