モリサワと写研が共同開発する新型フォントとは
株式会社モリサワは、フォントの新たな可能性を引き出すべく、写研との共同プロジェクトに取り組んでいます。新たに誕生することが期待される改刻フォントのファミリーには、「石井丸ゴシック」「本蘭明朝」「本蘭ゴシック」が名を連ねています。これらは、伝統的な美しさを現代に蘇らせるための試みとして注目を集めています。
改刻フォントの特徴
今回の開発において、改刻フォントはその名の通り、オリジナルの写研書体が持つ魅力を引き延ばしつつ、現代的なニーズに合わせてデザインが更新されています。特に、各フォントのデザインは、時代の変化を反映し、新たなテクノロジーの進化とも融合しています。モリサワと写研、さらには字游工房との三者協力によって実現されたこのプロジェクトは、書体の未来を変える可能性を秘めていると言えるでしょう。
各フォントの詳細
1.
石井丸ゴシック
クラシックな丸ゴシック体であり、オリジナルデザインの持つ優しさと親しみやすさを活かしつつ、ウエイトの展開を見直し、従来の3ウエイトから新たに5ウエイトへと拡充します。
2.
本蘭明朝
明瞭なデザインを持ちつつ、伝統的な筆遣いのニュアンスを感じるモダンスタイルの明朝体です。現代の表示環境に適したコントラストを再考し、より使いやすいフォントに進化します。
3.
本蘭ゴシック
本蘭明朝と対になる書体として開発され、ニュートラルなデザインを特徴としています。言語や文体に応じた柔軟なデザインが期待されます。
これらのフォントが持つ歴史的な背景とも融合しながら、モダンな要素を取り入れたデザインは、ユーザーに親しまれることでしょう。
開発の背景と未来への期待
写研書体といえば、1970年代から2000年代までの間、広く使われてきたフォントであり、写真植字機や専用システムを通じて多くのクリエイターに支持されてきました。今後、OpenTypeフォント化によって、パソコンやタブレットなどのデバイスでも利用できるようになるため、さらなる普及が期待されています。2024年には邦文写真植字機の発明から100周年を迎え、43のフォントが提供される予定です。
また、改刻フォントの開発に対する期待が高まる中、改刻フォントに加えて追加開発される「写研クラシックス」も注目されています。これにより、さらなるラインナップの充実が図られ、フォントを必要とするユーザーへの豊富な選択肢が提供されることでしょう。
動画でのプロジェクト紹介
このプロジェクトの様子を知りたい方に朗報です。モリサワでは、フォント開発の過程を紹介するメイキング動画が公開されています。プロジェクトの経緯や制作の裏側が知れる貴重な内容となっており、ぜひチェックしていただきたいです。動画では、字游工房の鳥海氏や、写研やモリサワのデザイナーたちの思いも語られています。興味のある方は、ぜひ約13分の動画をご覧ください。
モリサワの取り組みについて
株式会社モリサワは「文字を通じて社会に貢献する」という社是のもと、フォントの研究と開発に日々取り組んでいます。特に、ユニバーサルデザインフォントとして設計されたBIZ UDフォントや、UDデジタル教科書体をはじめ、2000以上のフォントを提供しています。フォントのサブスクリプションサービス「Morisawa Fonts」を通じて、多様なニーズに応えるサービスを展開しています。
新たなフォントがもたらす可能性に期待しつつ、今後の発表を楽しみに待ちましょう。