帝国不動産、賃貸経営の最新トレンドに迫る
10月、帝国不動産株式会社が東京都中央区で開催した記者発表会・勉強会において、同社の賃貸経営に関する独自のデータとビジョンが披露されました。今回のイベントは、メディア関係者を対象に1都3県の賃貸市場におけるエリア選定と「定期借家契約」という新たな戦略を主なテーマに据え、同社の取り組みを詳しく紹介しました。
賃貸経営の成長を語る木本社長の冒頭挨拶
最初の講演は、代表取締役社長の木本啓紀氏が執り行い、会社の成長の現状を説明しました。過去3年間にわたる営業利益は31.9%成長しており、管理戸数は5万7,400戸、入居率は14年連続で99%を維持しています。木本社長は、この成長の主な要因として東京圏への転入超過の回復と単身世帯数の増加を指摘しました。
社員に関するデータも注目を集め、754名の正社員の内、335名の年収は2022年の625万円から2026年には940万円にまで上昇するとされ、今後も社員のモチベーションと業績向上に寄与する見込みです。
調査データが示す賃貸市場の課題
続いて、1,000人の賃貸オーナーを対象とした調査結果が発表され、過去2年間で賃料を引き上げたオーナーの割合は全体で56.7%に上ったことが報告されました。特に東京都心の5区では73.2%が賃料を引き上げたとのことです。しかし、オーナーたちが抱える課題として「収支が不明瞭」「入居者トラブル」「空室問題」などが挙げられ、今後の賃貸経営にはさらなる戦略的アプローチが必要であることが示唆されました。
独自のエリア分析手法で見えてきた市場の姿
帝国不動産のデジタル本部バリュエーション課の岡田英樹氏が、賃料査定やエリア選定に使用される独自の分析手法を発表しました。1都3県の1,500駅を評価し、最終的には1,000駅を厳選し、その後12エリアに分割したことにより、合計1万2,000の分析エリアを生成。この手法により、各エリアの入居者ターゲットや必要設備が明確化されています。
定期借家契約のメリットとデメリット
次に、プロパティマネジメント本部長の新井勲氏が定期借家契約の重要性について解説しました。およそ35.8%のオーナーが「普通借家契約により賃料が上げられない」と感じていることを受け、同社は新たに「再契約型」の定期借家契約を導入。これにより、契約期間終了後の家賃見直しが可能になり、入居率を維持しつつ賃料の引き上げを図る新たな戦略を打ち出しています。現時点では、全物件の約14.6%が定期借家契約に切り替わっており、入居率も好調に推移しています。
今後の展望と業界の潮流
セッションの終了後には、参加したメディアからの質疑応答が行われ、木本社長は建築コスト上昇への対策について明確な見解を示しました。土地取得時からの精緻なコスト分析が、開発戦略において重要であると述べ、特にコスト高騰の際には競合が仕入れを行わなくなるため、土地取得の機会を捉える好機とする考え方が強調されました。
今回の発表会を通じて、帝国不動産の新たな戦略と独自のデータ活用が、今後の賃貸業界にどのように影響を与えるのか、業界関係者からの注目が集まっています。特に、エリア選定や定期借家契約といった先進的な取り組みが、より多くのオーナーと入居者に利益をもたらすことが期待されます。