金融庁が発表した令和6年金融商品取引法改正
令和6年6月、金融庁は重要な法律である金融商品取引法および投資信託に関する法律の改正案に基づく政策を発表しました。この改正は、株式取引の透明性を向上させる目的と、投資家保護の強化を目指したものです。今回の改正に向けて、広く意見を募るパブリックコメントも行われ、540件近くの意見が集まりました。以下にその概要と金融庁の考えを詳しく紹介します。
1. パブリックコメントの結果
金融庁は令和7年3月14日から4月13日までの間、改正法に関する政令案についての意見を広く公募。この結果、54個の個人及び団体から約350件の意見が寄せられました。多くのコメントを提供してくれた皆様に感謝の意を表し、次のステップへと繋がっていきます。
2. 改正の主な内容
公開買付制度の見直し
改正法では主に公開買付制度に関して見直しが行われました。以下に主要なポイントを示します。
- - 対象取引の範囲見直し: 僅少買付が30%ルールの適用外となることが明確化され、所有割合が0.5%未満の買付対象が新たな基準となります。
- - 特別関係者の範囲の変更: 市場内取引に関して、買付者の親族や特別資本関係を持つ法人等が特別関係者から除外されることとなります。
- - 手続きの柔軟性: 公開買付期間中の配当による価格引下げが可能となり、撤回理由も拡充されるなど、手続きがより柔軟に運用されるように変更されます。
- - 届出書の記載事項の明確化: 公開買付届出書の目的欄などが見直され、より明確な記載が促されます。
大量保有報告制度の見直し
この改正には、大量保有報告制度に関するプロセスの改善も盛り込まれています。
- - 企業と投資家の対話の促進: 共同保有者の要件が明確化され、提案内容の見直しも行われることにより、企業と投資家間のコミュニケーションが促進されるでしょう。
- - 現金決済型デリバティブ取引の規定整備: デリバティブ取引についての報告要件や、それに関する権利を株券数に換算するルールなどが整備されます。
- - 報告書の記載事項明確化: 大量保有報告書の目的や契約関連欄が見直され、共同保有者間の引渡請求権の計算も適正化されます。
3. 今後の予定
この改正は、令和7年7月1日に閣議決定され、一部を除き令和8年5月1日から施行されます。最新のガイドラインと共に、金融市場に向けた新たな規制が期待されます。
今回の改正法によって、透明性のある金融市場が整備され、投資家保護が強化されることが期待されています。金融庁は、今後とも皆様からのご意見をしっかりと受け止め、制度の改善に活用していく所存です。引き続き、金融商品取引法に関する最新情報に注目していきたいところです。