熊本保健科学大学が挑む医療人材不足解消の試み
熊本保健科学大学の学生たちが制作した2本のPR映像が、2021年度のグッドデザイン賞を受賞しました。このプロジェクトは、高速で進む高齢化社会と医療技術の進展を背景に、医療リハビリを担う専門職の重要性を特に強調するものです。いずれの映像も、医療人材不足への関心を高め、高校生に新たな進路の選択肢を示すことを目的としています。
受賞作「明日、声がなくなるとしたら」について
このPR映像は、人生の最後を迎えるある男性が残したカセットテープを通じて、言語聴覚士を目指す学生たちが患者の声を感じ取るという物語です。映像内では、学生たちが特別な授業を受ける様子が描かれ、遺族の思いに触れることで、職業の奥深さや人の命に寄り添う仕事の意義が伝えられます。グッドデザイン賞を審査した委員は、この映像が大学としてのメッセージ性を持ち、観る者に「自分ならどうするか」を考えさせる力を持つ点を高く評価しました。
映像はおおよそ3分間の内容で、学生たちがリアルな感情を持って学び、成長していく姿が強く印象に残ります。何気ない一日を過ごす中で、彼らの教育的背景とその成果を知ることができる貴重な視点が得られます。
「明日、声がなくなるとしたら」視聴リンク
受賞作「イルカと泳いだ女の子」に込められた思い
もう一つのPR映像「イルカと泳いだ女の子」は、車いす生活を送る7歳の少女が夢見る「イルカと泳ぐ」という願いを叶える過程を追ったドキュメンタリーです。作業療法士を目指す学生たちが、少女の夢を支えるために奮闘する姿が描かれています。この映像は、彼らの努力や準備、さらには離島でのイルカとの遊泳体験までを克明に記録しています。
観る者は、作業療法士という職業の意義を肌で感じることができるでしょう。このプロモーション映像も、学びのプロセスを自然に表現しており、若者たちが自らの進路を真剣に考察する契機を提供する役割を果たしています。
「イルカと泳いだ女の子」視聴リンク
医療人材の現状とその重要性
急速な高齢化により、国家資格を持つ医療専門職は今後ますます重要な役割を果たすことが求められています。実際、全国の理学療法士、言語聴覚士、作業療法士の人数は労働市場における需要に比べて現在少なく、その存在があまり知られていないのが実情です。したがって、学生たちがこの分野について考える機会が増えることは、今後の医療体制にとって非常に意義深いことです。
制作に至る経緯と受賞への感謝
制作にあたり、株式会社ゆうプランニングと株式会社Timeshipが協力しました。プロデューサーやディレクターの言葉には、学生たちのありのままの姿を映像で伝えることへの強い思いが込められており、視聴者に共感を呼び起こす作品を目指したとのこと。受賞コメントにも、視聴者に何かを感じてもらいたいという願いが表現されています。
まとめ
熊本保健科学大学の学生たちがこうした映像制作に参加したことで、医療人材不足問題に対する意識を喚起することに成功しました。今後もこの取り組みが広がり、若い世代が医療分野に関心を持ち、進路を選ぶ助けとなることを期待しています。さらなる医療人材の育成とその重要性についての発信を見守っていきたいと思います。