イノバセル株式会社、シリーズDラウンド資金調達を完了
イノバセル株式会社は、便失禁や尿失禁の治療を目的とした細胞治療・再生医療を通じて人々の健康とQOLを改善する取り組みを行っています。最近、同社はシリーズDラウンド資金調達を完了したことを発表し、合計調達額が73億円を超えたことが明らかになりました。この金額は、当初の最低目標であった35億円の2倍以上に相当します。
資金調達の背景と参加企業
今回の資金調達には、戦略的パートナーからの出資に加え、国内外の機関投資家やクロスオーバーファンドといった多様なタイプの投資家が参加しました。例えば、以下の企業やファンドが含まれます。
- - 戦略的投資家: アルフレッサ株式会社、あすか製薬CVC
- - 海外機関投資家: M&G Investments(国際資産運用会社)、Arcus South East Asia(マレーシア)
- - 国内クロスオーバーファンド: UntroD野村クロスオーバーインパクトファンド、ひふみクロスオーバーpro
- - 国内外ベンチャーキャピタル: SBIインベストメント株式会社、Happiness Capital(香港)、Felicity Global Capital(シンガポール)
- - 富裕層投資家: J-Shipsなど
このラウンドの特筆すべき点は、新たな資金調達手法を用いて大型の資金を獲得したことです。特に、M&G Investmentsがアンカー投資家となり、20億円を新株予約権を通じて投資しました。この手法により、長期的な投資スタンスを持つ投資家が多く参加したことも特徴の一つです。
資金調達の目的
イノバセルは、調達した資金をもとに切迫性便失禁の治療に向けた再生医療製品「ICEF15」の第Ⅲ相国際共同試験を進める予定です。また、アメリカ国内でのICEF15の治験開始準備や、日米欧における市販品製造販売体制の整備、他のパイプライン製品の開発など、多岐にわたる戦略的な取り組みを加速させる計画です。
経営陣のコメント
イノバセルの代表取締役Co-CEO、ノビック・コーリン氏とシーガー・ジェイソン氏は、強力な支援を受けて資金調達を完了できたことを感謝し、今回の調達金額が患者に早く製品を届ける責任を思い起こさせるものだと語りました。彼らは、既存の治療方法では解決できない患者に新しい希望を届けることが同社の使命であると強調しています。
イノバセルのミッションとビジョン
イノバセルは、オーストリアのインスブルック医科大学からスピンアウトした企業として、日本で2021年に設立されました。同社は、細胞治療と再生医療を通じて人々の健康とQOLの向上を目指しており、特に切迫性便失禁や腹圧性尿失禁に対する治療法の研究開発に注力しています。ICEF15は、患者自身の筋芽細胞を使用し、局所投与によって筋肉再生を図ることで根本的な治療を目指しています。現在、11ヵ国で実施中のFidelia試験を通じ、同社は新たな治療法の実現に向けて邁進しています。
イノバセル株式会社は、革新的な治療法を提供することで、再生医療の分野で新しい道を切り拓いていくことでしょう。資金調達を受けてさらなる成長を期待しています。