愛媛県今治市、健康長寿社会実現に向けた産学官連携トライアル事業を開始

愛媛県今治市、健康長寿社会に向けた産学官連携トライアル事業

愛媛県今治市では、高齢化が加速する社会情勢の中、健康で長生きできる社会の実現を目指した画期的なトライアル事業がスタートしました。このプロジェクトは、今治市役所、国立大学法人愛媛大学、一般社団法人今治市医師会、株式会社伊予銀行、フォーネスライフ株式会社、そしてNECソリューションイノベータ株式会社という、産学官民6者による強力な連携によって推進されています。

事業の目的と概要

高齢化率が35.8％に達する今治市において、持続可能な社会保障制度の構築は喫緊の課題です。このトライアル事業では、40歳から70歳までの市民150名を対象に、革新的なヘルスケアサービスを提供することで、健康寿命の延伸と医療費・介護費の抑制を目指します。

具体的には、最先端技術を活用した健康状態の精密検査と、一人ひとりに最適化された生活習慣改善プログラムの提供を柱としています。検査では、約7,000種類の血中タンパク質を分析し、心筋梗塞や脳卒中、認知症といった将来の疾病リスクを予測。さらに、耐糖能や心肺機能といった現在の健康状態も詳細に把握します。これらの検査結果は、専門家によるオンライン相談を通して、個別の生活習慣改善計画に役立てられます。

6者それぞれの役割

各機関は、それぞれの専門性を活かし、プロジェクトを支えています。今治市は既存の保健事業との連携を担い、愛媛大学は倫理審査やデータ解析、研究を行います。今治市医師会は住民の採血や検査結果の返却をサポート。伊予銀行は関係機関間の調整や事業化に向けた検討を支援。フォーネスライフ社は検査の取りまとめや、独自のヘルスケアサービス「フォーネスビジュアス」を提供。NECソリューションイノベータ社はデータ解析支援やアプリサポートなどを担当します。

「フォーネスビジュアス」とは

この事業の中核を担うのが、「フォーネスビジュアス」というヘルスケアサービスです。このサービスは、少量の血液から約7,000種類のタンパク質を分析する、日本初の技術を用いています。従来の検査では困難だった、将来の疾病リスクや現在の体の状態を総合的に評価することが可能になります。さらに、専門家によるオンライン相談や、生活習慣改善をサポートする専用アプリも提供されるため、持続的な健康管理を支援します。

今後の展開

このトライアル事業は、今治市の健康増進だけでなく、高齢化社会における持続可能な社会保障制度の構築に向けたモデルケースとなることが期待されています。その成果は、他の自治体への波及効果も期待でき、日本全体の健康長寿社会の実現に貢献する可能性を秘めています。事業の進捗状況や成果については、今後も注目が集まるでしょう。