ミミズ型ロボットが切り開く、配管点検の未来
JR東日本グループは、オープンイノベーションとICTを活用し、鉄道現場の生産性向上を目指しています。その一環として、JR東日本スタートアップ株式会社と株式会社ソラリスが資本業務提携を行い、革新的な配管メンテナンス技術の開発に乗り出すことを発表しました。
ソラリスが開発した「ミミズ型管内走行ロボット」は、その名の通りミミズのように動き、複雑な配管内を自由に移動することが可能です。従来、配管内部の点検は、入口や出口付近しか確認できず、数十メートル先の状況は把握することが困難でした。また、配管経路を正確に示す図面も少なく、メンテナンス作業は非常に困難を極めていました。
しかし、ソラリスのミミズ型ロボットは、この課題を克服する可能性を秘めています。2022年度のJR東日本スタートアッププログラムでの実証実験で、前人未踏の配管深部に到達し、画像データなどの取得に成功しました。これにより、これまで不可能だった配管内部の状況把握が可能となり、より安全で効率的なメンテナンスを実現できる道が開けてきました。
今回の資本業務提携により、両社は鉄道現場だけでなく、社会インフラ全体の配管メンテナンスをDX化し、より安全で持続可能な社会の実現を目指していきます。
ソラリス:生物に学ぶ、革新的なロボット技術
ソラリスは、中央大学バイオメカトロニクス研究室の研究成果を基に設立された大学発ベンチャー企業です。生物や生体の機能を応用した柔らかいロボット(ソフトロボット)の開発に注力しており、空気圧人工筋肉を用いた独自の技術を有しています。
ミミズ型管内走行ロボット以外にも、腸管の運ぶ・混ぜる機能を模倣した「腸管型ポンプロボット」など、革新的なロボット技術を開発しています。これらの技術は、医療分野や製造業など、幅広い分野での活用が期待されています。
JR東日本スタートアップ:イノベーションを推進するCVC
JR東日本スタートアップ株式会社は、JR東日本グループとスタートアップ企業との共創を推進するコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)です。ベンチャー企業への出資や協業を通じて、鉄道事業の革新を加速させています。
今回のソラリスとの資本業務提携は、JR東日本スタートアップが持つ鉄道分野の知見と、ソラリスが持つ革新的なロボット技術を融合することで、新たな価値を創造していく取り組みの一環と言えます。
未来への期待
ミミズ型管内走行ロボットは、従来の配管メンテナンスの常識を覆す技術として、大きな期待を集めています。この技術が社会インフラの安全性を向上させ、より持続可能な社会の実現に貢献していくことを期待しています。